「プロ野球最高の選手は誰だ」-クラブ員が選ぶベストナイン⑥

【出席者】司会・山田收(報知)菅谷齊(共同通信)露久保孝一(産経)高田実彦(東京中日スポーツ)島田健(日本経済)荻野通久(日刊ゲンダイ)真々田邦博(NHK)小林達彦(ニッポン放送)財徳健治(東京)菊地順一(デイリースポーツ)

◎指名打者部門

 司会山田「最後の指名打者(DH)はどうでしょうか」
荻 野「強烈な印象は近鉄のラルフ・ブライアント。本塁打王を3度獲っている(外野手出場321試合、指名打者出場449試合)。豪快だったよ」
山 田「東京ドーム天井直撃弾のブライアントもいる指名打者ですが、1975年にパ・リーグが制度採用開始ということで、NPBは80周年でベストDHは選んでいない」
菅 谷「73年にア・リーグが採用した。メジャーは好打者を打撃専門で長く持たせるために。日本のパ・リーグは攻撃型野球で観客動員を増やす目的で導入した」
菊 地「それこそ、先日亡くなった高井保弘(阪急)の代打での活躍がきっかけとなった」
露久保「そのお陰で高井はDHで先発出場となり、彼の代名詞だった代打本塁打が減った(笑)。あれがなけりゃ、30本は打っただろう、と言われている」
山 田「2019年のシーズンまで、のべ45人がベストDHに選ばれていますが、27回が外国人。3年連続のオレスレス・デストラーデ(西武)をはじめ、チャーリー・マニエル(ヤクルト、近鉄)、レロン・リー(ロッテ)、ブライアント、トロイ・ニール(オリックス)やここ2年連続のソフトバンクのアルフレド・デスパイネなどが複数回で名を連ねている」
小 林「リーは外野も守っている(外野297、一塁23、指名979)。来日した外国人の中ではベスト3に入る強打の持ち主だった、という関係者は多いよ」
荻 野「外国人指定席の観がある中で、日本人では4度の門田博光が抜けている。170㌢ぐらいしか身長がなかったが、通算本塁打(567)、打点(1678)は歴代3位。40歳超えてからタイトルを獲ったんだから、まさにケタ外れ」
菅 谷「南海時代の若い頃を見ているが、凄いスイングだった。私が一番評価しているのが、当時の野村克也監督の言うことを聞かなかったこと」(笑)
荻 野「ヒットの延長がホームランという野村説に従わない。野村が王のところへ連れていって、説得しようとしたが、全く耳を貸さなかった。ホームランを打てばいい、とね。スケールが違うね、すべてに」(笑)
真々田「大きなフォロースルーが特徴だったのを覚えている。まさにプロ」
荻 野「重いバットを振っていて、腱鞘炎になった。今のバッターは鉛筆みたいなバットを振っているからダメ、と言っていた」(笑)
菅 谷「門田はクラレ岡山時代の1968年のドラフトで阪急に指名された(12位)が拒否。翌年2位で南海に入団したが、野村監督は自分より飛ばす選手は困ると思っていたもの」
露久保「中日から楽天へ移籍した山崎武司。彼は野村監督の言うことを聞いて甦り、カムバック賞を受賞した」(笑)
小 林「外国人だとデストラーデの印象が強烈。秋山幸二、清原和博と組んだ西武のクリーンアップトリオは破壊的だったな」
菊 地「1990年の巨人との日本シリーズ開幕戦で槙原寛己から打った一発だね」
島 田「さっきも出たがブライアントだね。89年の西武との優勝をかけたダブルヘッダーで3打席連続、2試合で4打数連続ホームラン。あれは凄かった」
真々田「五輪も含め、国際試合は多くがDH制を採用。先日、巨人の原辰徳監督が、セもDH制を採用したらどうか、と提案して話題になった」
高 田「今の若い人はDHを支持するのではないか。投手の打席は白ける」
菊 地「昔みたいに打てるピッチャーがいればいいけれど、最初からバントだったり、アウトでは。取材していて、パ・リーグは面白い。終盤にドラマが待っている」
財 徳「投手のところで代打をどう使うか、とかいうけれど、大した選手いないんだから。きちんとDHを使って、打撃戦を見せる流れでいいのではないか」
島 田「バッターが良くなれば、投手も工夫する。お陰でパ・リーグの投手は良くなってきている」
財 徳「セだって全く新しいものをやるわけではない。実際にあるものを採用する、という話。実際にやっているパ・リーグは投手力が上がって、試合も面白くなっている」
山 田「次回は最終回。会員選定「私が選ぶベストナイン」です」(続)