昭和は遠くになりにけり

◎昭和は遠くになりにけり

 2020年となって間もない1月17日早朝、名二塁手だった高木守道が亡くなった。「日本球界最高の二塁手」と評価する声が相次いだ。有名なバックトス。男性ファンはそのさりげない技術にしびれた。女性ファンは軽快なプレーにうっとりしたものである。
 高木死亡を知ったとき、ここ半年で球界を盛り上げたスター選手が次々とこの世に別れを告げたことに、改めて気が付いた。
 19年10月6日、400勝投手の金田正一が86歳の生涯を閉じた。「天皇」「黄金の左腕」の異名をオールドファンは思い出したはずである。高木が亡くなってから4日後に都内のホテルで「お別れの会」を行った。
 金田の後、12月になると、11日にロッテの捕手だった醍醐猛夫の訃報。早実で王貞治の先輩、金田監督のロッテ時代にコーチとして支えた。それから2日後に代打本塁打の世界記録を持つ高井保弘(阪急)が亡くなった。
 ちょっとさかのぼって9月14日にジーン・バッキーが死亡している。「スネーク投法」で、64年の東京五輪のとき、阪神のエースとして日本シリーズに出場した。
 みんな昭和の時代にファンをワクワクさせた選手ばかりである。いずれも個性豊かで、メディアの出番が多かった。それから平成を経てに令和に。文字通り“昭和は遠くになりにけり”である。
 彼らのプレー、技術を後輩たちに学んでもらいたい、と思う。(菅谷 齊=共同通信)