◎スキャンダルの種は尽きまじ-(菅谷 齊=共同通信)

ロッテの清田が選手契約解除となったのはコロナ禍の出来事に絡むものだった。それに女性問題が重なり、人気商売としてのイメージダウンにつながった。世間を甘く見ていたのだろうか。
 プロ野球は2020-21年とコロナに翻弄されている。公式戦の予定は狂うし、練習にもさまざまな制約がかかった。無観客試合など今までに経験しなかった事態に巻き込まれた。それでも精いっぱいの知恵を絞って試合を行い、ファンの期待に応えている。
 そんな最中でのスキャンダルは、よろしくない、ということである。
 プロ野球の歴史を振り返ると、スキャンダルは多い。賭博や八百長などは社会事件として扱われた。解雇、永久追放など、選手にとって人生を半ば失う結果となった。
 スキャンダル処理に球団の才覚が表れる。
 ある出来事を紹介しておく。
 シーズン終了後、各球団は翌年度の契約をする選手を発表する。保留名簿である。その後、契約更改交渉を行うのだが、年俸額が折り合わないときは複数回の交渉になる。ところがX球団の代表は選手に「解雇」を告げた。選手は弁護士を立てて対決となった。
 代表に対して「球団は協約違反に問われる。このまま突っ走ったらあなたがクビになりますよ」とのアドバイスがあったが、聞く耳を持たなかった。コミッショナーが調停に入り、両者の金額を足して2で割った額を選手に支払い退団。間もなく代表も球団から去った。
 大した額の争いではなかっただけに、お粗末な出来事だった。むろん、報道はされている。
 清田の問題は、解除後も人権などいろいろな声が起きている。トラブルの処理は、その後のことも考えなければならない。ロッテはしばらく後遺症に悩む可能性がある。
 かつて新人選手に対し、研修制度というのがあり、そこで社会人としての教育をした。開幕してしばらく時間を取られたことで各球団から不満が出て間もなく制度そのものがなくなった。高い契約金を払って獲得したのにすぐ使えないのはおかしい、という理由だったと聞いている。
 プロ野球選手は誘惑の中にいる。スキャンダルの種は尽きまじ、と球界は心得よ。(了)