「いつか来た記者道」(46)-(露久保孝一=産経)

◎タイトル3年連続なら今世紀の快挙
 2022年のプロ野球は、セ・パともに3月25日に開幕する。1チームあたり年間143試合を戦う。リーグ内対戦が25回戦総当たりの125試合で、交流戦が18試合ある。このゲーム日程で、それぞれの球団が優勝をかけて激戦を繰り広げる。
 選手たちは、投手、打者ともに「昨年以上の活躍を」と目標を抱き、厳しい練習を課し取り組んでいる。個人タイトル争いも野球の見どころだ。ファンはひいきの選手のタイトル獲得をペナント中夢見て追い続ける。ここでは、打撃部門のタイトルをテーマにしたい。
 注目される選手は、巨人の岡本和真内野手とオリックスの吉田正尚外野手である。岡本は20、21年に本塁打王と打点王の二冠を手にし、吉田は20,21年に首位打者に輝いている。岡本は3連続の二冠達成あるいは三冠王の期待もあり、吉田も3連続首位打者と三冠王の可能性もある。

▽王、野村、イチローの8年連続は夢物語?

 両選手の活躍が待たれるのは、2000年以降、3年連続でタイトルをとったのは11-13年本塁打王のバレンティン(元ソフトバンク)、03-05年打点王の松中信彦(元ソフトバンク)の2人しかいないという現実である。2年連続はいても、3年連続となるとわずかなのだ。継続することが、いかに難しいかがわかる。セの首位打者では、2年続けての獲得者はゼロである。パの西武・中村剛也は2年連続本塁打王を3度経験しているが、3年連続は一度もない。
 継続といえば、「継続は力なり」という有名なことわざがある。一般的には、誰でも目標に向かって努力を続ければ成功する、夢を叶えることができるという意味である。実際に、この精神をもって希望のゴールをめざし休むことなく懸命の練習、研究、学習を続けている経営者、受験生やスポーツ選手も多い。大きな目標を立てた人は、他人の何倍もの努力を積み重ね、場合によってはライバルとの競争に勝たなければならないのである。プロ野球界にあっては、継続は難しいがゆえに、重要な要素なのである。
 かつて、13年連続本塁打王、8年連続打点王の巨人・王貞治、8年連続本塁打王の南海・野村克也、8年連続首位打者のオリックス・イチロー(最後の年はマリナーズ)という「類まれな好打者」は存在したが、いまから思えば「夢のような記録」となっている。21世紀は、よくいえば群雄割拠ではあるが、一方でスーパースターの誕生が待たれるところである。

▽至難の3年連続に挑む岡本、吉田

 そこで、22年は岡本、吉田の3年連続に目が向けられる。岡本は21年、本塁打王はヤクルト・村上宗隆と39号で分け合った。岡本は18年に打率3割9厘を残したこともあり三冠王にも挑む。それは村上にもいえること。両者はタイトル争いでも、セ・リーグを熱くしてほしいものだ。
 吉田は、17年から5年連続で打率3割以上をマークしている。19年に本塁打29本も放った。こちらも、三冠王奪取の力を持っている。もちろん、岡本、村上、吉田選手以外にもチャレンジャーが現れるはずである。
「野球を見て面白いのは、やっぱり本塁打だよな。いっぺんに興奮するもの。優勝するチームには打てるバッターが多い」という声がある通り、強いチームには強打者、好打者がいる。そのヒーローの登場と継続を、ペナント・レースで見ていきましょう。(続)