◎スキャンダルの種は尽きまじ(菅谷 齊=共同通信)

いくら寛大なファンでも、令和の時代に入ってからのプロ野球選手のスキャンダルは、あまりにもひどすぎる、とあきれていることだろう。
 パワハラにセクハラ、不倫、DV、さらに賭博、反社との関係…。
 質が悪いし、お粗末。加えて知らんぷり、頬かむり、開き直りというのだから、どうしようもない。球界関係者が批判をして当たり前の状況になっている。今の世の中は、瞬時にして悪事がバレるし、全国に拡散するというのに、次から次へと事件を起こす。
 かつては、八百長事件という球史の暗部があった。試合に故意に負けるという敗退行為だけでなく、公営競技の八百長にも絡んでいた出来事があり、それによって球団の身売りにつながった。
 戦後間もないころにも八百長はあったが、理由の大半は「生活費のため」だった。
 現在、プロ野球選手の年俸はいい。レギュラーになれば、ほぼ億の単位で契約を交わすことができる。FA制度を利用すれば一生分の収入を得る。そんな高給取りがスキャンダルの主役になっているのが実情である。
 最近の醜聞をみると、多くが女性絡みで、スター選手だからこそ奇麗どころが寄って来るのは当たり前だろう。金があって体力がある選手は、それはそれは魅力的である。
 「厳しい練習より合理的な練習」
 「叱るより褒めて育てろ」
 「選手に寄り添って」
 これが“令和の3大選手養成術”。ゲンコツをくらわしたら、その一発で指導者は一発解雇になることもある。スター選手にとっては、いまや怖いものなしの球界になっているような気がする。
 今後、球界は正常化するのか。
 歌舞伎などで有名な大盗賊の石川五右衛門。辞世の歌と言われているのが「石川や、浜の真砂は尽きるとも 世に盗人の種は尽きまじ」。それに倣って言えば「球界や 浜の真砂は尽きるとも 選手のスキャンダルは尽きまじ」の状態で、どなたが叱るのか注目したい。(了)