◎ワン・ツー・パンチ

ONコンビこと王-長嶋をはじめ、大杉-張本、加藤-長池、衣笠-山本、秋山-清原…。思い出深い打線の中心、ワン・ツー・パンチのコンビである。タイトルホルダーの常連が並ぶ。
 このワン・ツー・パンチの言葉の響きは、ファンをわくわくさせる。足が球場に向く。メディアの大見出しになるゴロの良さ。
 残念ながら最近はあまり聞かない。
 2020年の各球団を見ると、一人は強打者がいる。それがコンビとなると名前が出て来ない。
 セ・リーグを独走した巨人は岡本に坂本、丸が絡んでトリオとなる。昨年の本塁打は岡本31、坂本40、丸27。このような3選手で中軸を組むことをクリーンアップ・トリオという(クリーンアップは4番打者の意)。
 期待を裏切ったのは西武。昨年の首位打者森、本塁打王山川が安定しない。黄金時代は遠のいた感じである。ソフトバンクも柳田と競う打者が不在だ。
 そのパ・リーグの多くは日替わり打線を組んだ。楽天浅村、日本ハム中田、オリックス吉田正と大物はいりのだが、相方がいない。
 セ・リーグも似ている。ヤクルト村上、DeNA佐野、広島鈴木誠、阪神大山にもう一人が出て来ない。
 ロッテ安田、中日高橋はようやく力を出し始めたが、一枚看板にはまだ足りない。
 強力コンビが編成されると、相乗効果でより成果が上がる。これは歴史が証明しており、黄金時代の絶対条件といっていい。外国人選手で一時しのぎをするか、じっくり自前選手を育てるか。難しいテーマである。
 今でも惜しかったと思うのは、エンゼルスの大谷が日本ハムに残り中田と「新ON砲」を組んでの豪快な本塁打共演が見られなかったことである。(菅谷 齊=共同通信)