「100年の道のり」(44)-日本プロ野球の歴史(菅谷 齊=共同通信)

◎巨人米国へ、スタートは6球団
 日本の野球界が大きな節目を迎えたのは、1936年(昭和11年)のことである。職業野球、現在のプロ野球が連盟を作ってスタートした。参加チームは巨人、阪神、阪急、名古屋、金鯱、セネタース、大東京の7。初年度は、巨人が2度目の米国遠征に出たこともあって変則だった。
 この年の記録は、実に36年後の72年にコミッショナー決定に従い、集計された。
▽第1回日本職業野球リーグ戦=4月29日-5月24日
・甲子園大会(巨人遠征で不参加)
順位=①セネタース(4勝1敗)②金鯱(3勝1敗1分)③阪神(3勝2敗)④阪急(2勝3敗)⑤名古屋(2勝3敗)⑥大東京(4敗1分)
打率1位=藤井勇(阪神)5割2分6厘 
・鳴海大会(巨人、金鯱は遠征で不参加)
順位=①セネタース(3勝)②阪神、名古屋(1勝1敗)④阪急(1勝2敗)⑤大東京(2敗)
 打率1位=宮武三郎(阪急)5割8分3厘
・宝塚大会(巨人、金鯱は遠征で不参加)
 順位=①阪急、セネタース(2勝)③阪神(1勝1敗)④名古屋、大東京(2敗)
 打率1位=北井正雄(阪急)7割5分 
▽連盟結成記念第1回全日本野球選手権試合(7球団のトーナメント)=7月1日-19日
・東京大会(戸塚)
 順位=①名古屋(3勝)②セネタース(2勝1敗)③阪神、阪急(1勝1敗)⑤巨人、金鯱(1勝2敗)⑦大東京(2敗)
・大阪大会(甲子園)
 順位=①阪急(3勝)②セネタース(2勝1敗)③金鯱(1勝1敗)④巨人、阪神、名古屋、大東京(1敗)
・名古屋大会(山本)
 順位=①阪神(3勝)②阪急(2勝1敗)③セネタース、金鯱(1勝1敗)⑤巨人、名古屋(1勝2敗)⑦大東京(2敗)
 3大会通じての個人記録1位は次の通り。
 打 率=小川利安(阪神)7割6厘
 本塁打=山下実(阪急)高橋吉雄(名古屋)3 
打 点=山下好一(阪急)13 
防御率=北井正雄(阪急)1.96 
勝 率=北井正雄(阪急)1.000 
勝 利=北井正雄(阪急)野口明(セネタース)松浦一義(名古屋)4
ここまで見ると、セネタースの安定した戦いぶりが目立った。対して大東京は選手不足が響いて1勝もできなかった。(続)