◎大リーガーと日本選手に逆転現象-(菅谷 齊=共同通信)
秋になると、大リーグとの試合を思い出す。2018年に大リーグ選抜が来日して以来、日米野球は開催されていない。
2リーグになってから単独チームの来日多かった。大リーグのコミッショナーの意向で、1986年からほとんど選抜チームがやってきた。単独チームの最後は、93年のロサンゼルス・ドジャースである。
大リーグ以外では、メキシコ、韓国が来た。
かつて「大リーグに学ぶ」ことが日米野球の目標の一つだった。まだBS放送もなかった時代は、名前だけは知っているが、実物は見たことがない、とあって日本の選手たちは心待ちにしていた。
戦前に来日した本塁打王のベーブ・ルース、連続試合出場のルー・ゲーリッグ、スモークボールのレフティ・グローブらは知られた存在である。「プレーを見て覚えた」時代だった。
戦後はスーパースターの「アドバイスを受けて学んだ」時代といえた。打者ではジョー・ディマジオ(51年来日)ミッキー・マントル(53年)ジャッキー・ロビンソン、デューク・スナイダー(56年)スタン・ミュージアル(58年)ウイリー・メーズ(60年)アル・ケーライン(63年)フランク・ロビンソン(71年)ピート・ローズ(78年)ジョージ・ブレット(81年)ら。
投手ではドン・ドライスデール(56年)ボブ・ギブソン(68年)ジム・パーマー(71年)トム・シーバー(78年)ら。捕手はヨギ・ベラ(53年)ロイ・キャンパンネラ(56年)ジョニー・ベンチ(78年)ら。
それに守備のブルックス・ロビンソン(71年)に走塁のルー・ブロック(68年)。みんな殿堂入りしている超一流の技術者だった。
21世紀になると、大リーガーが日本の野球を尋ね、参考にするようになった。
チーム数が増え、そのため各国の選手を獲得することになり、日本からも毎年ように海を渡っている。日本でプレーしてから大リーグで活躍する選手も少なくない。
現在は二刀流の大谷翔平が“ニッポン代表”として米球界を席巻している状況である。その昔、日本選手は大リーガーのプレーを見て目を丸くしていたのが、いまは大リーガーが日本選手のパワーに目をむいている。子弟関係が逆転したのかもしれない。(了)