◎監督の首とクビ(菅谷 齊=共同通信)
プロ野球チームの監督の存在とは…。
「プロ野球の監督は12人。大臣の数より少ない。大変貴重な存在」
一般社会ではよくそう言う。ところがプロ野球の世界では、真逆どころか、恐ろしい存在を指摘する。
「選手の代わりいない。けれども監督の代わりはいくらでもいる」-。
プロ野球の監督は3年もやれば、ハイ交代、となるケースが多い。1シーズンというのはさすがに少ないが、3年契約をしながら成績が悪ければ2年で、ご苦労さん、と放り出されるケースは少なくない。
その3年契約を交わしながら2シーズン続けて下位低迷で“クビ”になった監督とのエピソードがある。2年が終わったオフ、監督の自宅に呼ばれた。「オレ、ちょん(クビ)か?」と。球団幹部に連絡すると、予想通り「解任」だった。それを監督に告げると、がっくり首を落とした。
しかしながら、3年契約だから残り1年の年俸は頂けるし、解説者になればそのギャラが入る。「いい1年じゃないですか」とおかしな激励をしたことがあった。
現在のプロ野球の監督は、いわば“その日暮らし”といっていい。球団にこだわらずいえば、昔の三原脩や水原茂、鶴岡一人、さらに川上哲治、西本幸雄、ちょっと下って上田利治、森祇晶、野村克也らみたいな長期に渡って政権維持は望めない。
今年の5月下旬、暴行事件で監督を辞任した巨人の阿部慎之助は、1年目に優勝してもてはやされたものの、昨年3位だと「今季優勝逃せば終わり」などといわれて開幕を迎えた。今の監督はストレスでまいっているのだろうと思う。
監督の首はクビのためについている…そう思えるのである。(了)
