「たそがれ野球ノート」(37)-(小林 秀一=共同通信)
◎表現力のレベルアップを
4年に一度のサッカーW杯。このコラムを書いているのは、日本代表が1次リーグで勝ち点5を挙げて決勝トーナメント進出を決めた時点だ。日本の熱気はこれからますます高まっていくのか、あるいは今がピークとなってしまうのか。
マスコミは連日、W杯を報道の中心に据え、とくにビジュアルに強いスポーツだけに、テレビ各局は中継、ニュースだけでなく、ワイドショー、バラエティに連日大きく時間を割いている。
そこで目を引くのが解説者の層が厚いこと。かつて日本チームを支えた元日本代表の方々が次から次へと登場してくる。
福西、宇佐美、福田、柿谷、鈴木、坪井、大里、武藤、大久保、松井ら諸氏だ。
懐かしい名前が出てくるので、ついつい目を止めてコメントを聞いてしまう。みなさん、きちんと表現力を持ち、分かりやすくプレーの流れを解説しているではないか。相手主力選手の情報も豊富で、実に歯切れよくお話しになる。
ついつい野球の世界と比較してしまう。例えばWBCの大会で、かつて主力だったプロ野球のOBの方たちがこぞって登場し、同じようなことができるだろうか。
もちろん上手に話す野球OBも少なくない。しかし、これまであちこちで言葉での表現力の比較が話題になったが、なぜかサッカー選手の方が上回るという結論に達してしまう。
ヤクルト監督だった野村克也氏(故人)は、お立ち台の選手に対して、「頑張ります」の言葉を禁止し、きちんと自分の言葉で話せ、と指導した。
しかし、いまだにプロ野球のヒーローインタビューでは、「頑張ります」「応援よろしくお願いします」が横行している。さらに「最高で~す」なんて大声で叫ばれるとこちらまで気恥ずかしくなる。
アナウンサーにも常とう句へつながるような質問ではなく、生の言葉を引き出すような聞き方をして、レベルアップを手助けしていただきたいものだが。(了)
