◎新時代を迎えた審判員(菅谷 齊=共同通信)
甲子園球場に女性審判員が登場した。今年夏の高校野球、選手権のときである。5人の方がグラウンドに散った。教員、病院勤務、看護師などの職を持つ。開幕戦の塁審でデビューした。2026年は野球界が新たな時代を迎えたといっていい。
審判員の世界は長く“男の世界”だった。出来事が目立つのはプロ野球でのジャッジで、内容の多くはトラブル。選手たちからの口撃に暴行が定番という騒動を繰り広げてきた。それでもひるむことなく判定生活を続けた。
近年、審判員への配慮が高まっており、暴行事案は消えた。
ルールブックの「審判員の裁定」に、主審のボール、ストライクに異議を唱えるため選手が塁や守備位置から、監督らがベンチなどから離れて本塁に向かった場合、まず警告を発し、警告を無視したときは「退場」させられる、とある。審判員の裁定は「最終のもの」とされているからで、この一項で抗議はほぼなくなった。
その代わりリクエストという制度があり、ビデオによる確認でのジャッジが最終となる。このリクエストが人気となっている。
プロ野球の審判員の中には武者修行で米国に行っている。経験者によると、ある審判学校の教科書に“べからず集”がこれ。「自分の判定を説明するな」「ファンに言い返すな」「同僚の判定に口を出すな」「注目を弾き過ぎるな」など。そっと始末してしまえ、ということだろう。
規則書には「審判員に対する一般指示」という付随項目がある。「よく規則書を調べ、その解決に万全を期す」「悪い事態の対処は感情を捨てて自制すること」「誤りを犯したとしても埋め合わせしようとしてはならない」など具体的に明記されている。
昭和時代のプロ野球では球史にのこる大トラブルが何度も起きた。公式戦が圧倒的に多いが、日本シリーズでもあった。審判員が安全にジャッジできる現在、まさに隔世の感がある。(了)
