1.プロ野球の「歴史の証言者」-理念と目標
東京プロ野球記者OBクラブは2006年(平成18)10月1日に設立されました。会員は東京運動記者クラブに在籍した新聞社、通信社、ラジオ局、テレビ局をはじめとするプロ野球報道に多年携わったジャーナリストです。17年現在、会員はおよそ100名となっています。クラブの目的は、会員の親睦と野球界のさらなる発展に寄与することです。
▽活字と電波の専門家
私たちの組織は、長くプロ野球を取材し、執筆、あるいは試合中継や番組制作に携わったジャーナリストが会員として所属しています。プロ野球の歴史を第一線で見守り続けてきた豊かな経験と深い知識を持つ、文字通り「プロ野球取材の専門家」です。セ、パ2リーグに分立した1950年(昭和25)ころの激動の時代を取材した記者も健在です。
プロ野球選手たちの活躍と栄光、あるいは挫折をまじかで観察し、人間ドラマを活字、電波で全国に伝えてきました。プロ野球選手がグランドのプロフェッショナルなら、私たちはプレーヤーを熟知した知識・情報伝達のプロフェッショナルと自負しております。
▽過去と現在の対話
プロ野球は現在、キャンプから始まり、オープン戦、公式戦、オールスター戦、日本シリーズなどポストシーズンと続き、加えてワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が重要なイベントとなっています。プレーのシーズンが終わると、ドラフト会議があり新たな戦力がプロの世界に入ってきます。同時に球団のチーム運営と編成、野球界の諸問題などが取り上げられるなど、年間を通じて注目される世界です。
私たちはそんなさまざまな戦い、イベントを20世紀から21世紀にかけ、くまなく現場で幅広く取材し、新聞記事あるいはテレビ・ラジオで全国のファンに伝えてきました。歴史とは過去をそっくり復元するのではなく、現在から過去を見て過去像をつくりあげること、といわれます。ちょっと難しい話ですが、たとえば、黄金時代の西鉄ライオンズを現在の目で振り返り当時の姿を浮き彫りにする、ということです。そこに“過去と現在の対話”があり、「歴史は新しい事実の発見によって補完される」ことにあります。
▽プロ野球の縮刷版
私たちの基本姿勢は、報道現場で培った日本新聞協会の新聞倫理綱領に基づくものであり、国民の「知る権利」を最大限に尊重し、「人間の尊厳に最高の敬意を払い、個人の名誉を重んじプライバシーに配慮」して、「公共的、文化的使命を果たすべき」努力を続けていくつもりであります。報道機関に身を置いた者として、豊かで平和な未来のために微力ながら力を尽くしたいと考えています。
わがクラブのホームページをスタジアム代わりにして、ファンのみなさまとプロ野球界の情報キャッチボールを楽しんでいきたいと念願しております。私たちの記事を読んだあと、ファンから「面白い」「当時、こんなことがあったのか」「本当はそういうことだったのか」などと感じていただけるように努力する所存でございます。
現在のプロ野球は、戦前の34年12月26日、巨人の前身である大日本東京野球倶楽部が誕生したのが始まりで、すでに80年の歴史を重ねています。その長い年月で刻まれたプロ野球発展の足跡を、特にプロ野球が国民的人気になった60年代半ば以降、いろいろな角度から掘り起こし、新たな記事として蘇らせ野球ファンにお届けするのが、私たちの目的であります。新聞でいえば、プロ野球の新聞縮刷版にあたります。過去の記録、感動シーンなどは事実にそって情報を提供しますが、私たちの手による新しい「版」が付け加えられることにもなります。
私たちは、プロ野球を見守る“歴史の証言者”であり続けたいと考えています。(了)
2.東京プロ野球記者OBクラブ会則
(名称)第一条
本クラブは「東京プロ野球記者OBクラブ」(以下 本クラブという)という。
(設立)第二条
本クラブは平成18年10月1日をもって設立する。
(目的)第三条
本クラブは会員相互の親睦を目的とし、野球界の発展に側面から協力する。
(資格)第四条
本クラブの資格者(以下会員という)は東京運動記者クラブに在籍し、新聞社・通信社・テレビ局・ラジオ局のプロ野球担当を多年に渡り、経験したOBである。
(役員選出)第五条
役員は会員から選出され、総会の承認を得て決定する。
(役員)第六条
本クラブは次の役員を置く。会長 1名・副会長 3名・理事 15名以内(事務局長・会計・監査を含む)
追記 名誉会長・顧問を置くことができる。
(役員任期)第七条
役員の任期は一年間とする。なお改選においては重任も認める。しかし会則に反する行為や体調不良などでやむを得ず任を遂行する事が出来ない場合はこれに当らない。
(任務)第八条
会長は本クラブを代表して会務を統括し、理事会を主宰する。
副会長は会長を補佐し、やむを得ず会長が不在の場合には会長代理として、その職務を代行する。
(活動)第九条
本クラブは月一回理事会を開き、活動方針を決定する。
(総会)第十条
本クラブの総会は原則として年一回開催する。一年間の活動報告・役員の紹介・会計報告などを行う。
(入会)第十一条
本クラブの入会は第三条に基づき原則的に自由で、東京運動記者クラブ会友を対象とする。
ただし、条件以外の入会者は理事会の了承を得るものとする。
(退会)第十二条
本クラブの会員は理事会に申し出れば退会できる。
会員が社会正義に反する行為があった場合、理事会から退会を命ずることができる。
(経費)第十三条
本クラブの目的遂行に費やす経費は別途決める。
(会費)
第十四条 年会費は会員から徴収しない。
以上
平成29年6月27日改訂
会 長 菅谷 齊 (共同通信)
副会長 吉田 和夫 (読売)
副会長 高田 実彦 (東京中日スポーツ)
副会長 真々田 邦博 (NHK)
事務局長 露久保 孝一 (産経)
会 計 荻野 通久 (日刊ゲンダイ)
3.理事と名簿(2023年10月1日現在)
名称 | 氏名 | 所属 | 担当 |
---|---|---|---|
会長 | 菅谷齊 | 共同通信 | |
副会長 | 吉田和夫 | 読売 | |
副会長 | 高田実彦 | 東京中日スポーツ | |
副会長 | 真々田邦博 | NHK | |
事務局長 | 露久保孝一 | 産経 | |
会計 | 荻野通久 | 日刊ゲンダイ | |
理事 | 蛭間豊章 | 報知 | |
理事 | 山田収 | 報知 | |
理事 | 小林達彦 | ニッポン放送 | |
理事 | 中野義男 | フジテレビ | |
理事 | 田中勉 | 時事通信 | |
理事 | 島田健 | 日本経済 | |
理事 | 菊地順一 | デイリースポーツ | |
理事 | 佐藤彰雄 | スポーツニッポン | |
理事 | 佐竹修仁 | 産経 | |
理事 | 安藤栄樹 | 内外タイムス | |
理事 | 中島章隆 | 毎日 | |
理事 | 玉置肇 | 日刊スポーツ | |
理事 | 小林秀一 | 共同通信 | |
理事 | 武田幹雄 | スポーツニッポン | |
理事 | 飯田絵美 | サンケイスポーツ | |
顧問 | 岡田忠 | 朝日 | |
顧問 | 高山智明 | スポーツニッポン | |
顧問 | 下村喜彦 | デイリースポーツ |
会社名 | 会員名 |
---|---|
朝日 | ◇岡田忠、増田稔 |
共同通信 | 梶 康夫、◎菅谷齊、古川義郎、船原勝英、川上克秀、香取鉄平、◎小林秀一、山崎恵司、小林政富、尾崎透、越三勝彦、松岡登、石原秀知、春日明、田坂貢二、山川岳、児矢野雄介、白石龍介、中井聡 |
時事通信 | ◎田中勉、井上正巳、滝川哲也 |
産経 | ◎露久保孝一、松井猛、江目智則、佐野慎輔、◎佐竹修仁 |
サンケイスポーツ | 庵原英夫、蔵田紘、角山修司、◎飯田絵美、山下千穂 |
夕刊フジ | 大見信昭 |
スポーツニッポン | ◇高山智明、龍川裕、◎佐藤彰雄、◎武田幹雄 |
デイリースポーツ | 秋村純夫、児島宏、◇下村喜彦、◎菊地順一 |
東京スポーツ | 猪狩親康、當山政信 |
東京 | 卓田謙一、松本武男、山下二郎、財徳健治 |
東京中日 | 三枝貢、◎高田実彦 |
毎日 | 柿沼則夫、◎中島章隆、六車護、渡部節郎 |
日本経済 | ◎島田健 |
日刊スポーツ | 遠藤豊、斎藤柳光、佐々木紘一、◎玉置肇 |
報知 | 馬立勝、大場宇平、奥村英敏、柏英樹、古藤了三、田中茂光、土屋一重、◎山田収、◎蛭間豊章 |
読売 | 柿沼正行、◎吉田和夫 |
内外タイムス | 磯崎忠夫、◎安藤栄樹 |
日刊ゲンダイ | ◎荻野通久 |
NHK | 川村浩史、佐塚元章、松本一路、◎真々田邦博、工藤三郎、友次康裕、徳江利康、山下博一、竹林俊行、森中直樹、秋山浩志、福原健一、道谷眞平、福澤浩行 |
日本テレビ | 赤木孝男、浅見源司郎、岩崎晃、山下末則、吉田塡一郎 |
テレビ朝日 | 太田眞一 |
TBS | 石川顕、中村英雄、松下賢次、林正浩、宮沢隆 |
テレビ東京 | 平山登、藤吉次郎、宮和夫、吉成昂也 |
フジテレビ | 荒井征夫、大川和彦、髙島二六、 浜本健夫、福田博司、村上宏、吉田康麿、◎中野義男 |
ラジオ日本 | 工藤健策 |
ニッポン放送 | 宮田統樹、◎小林達彦、山田透 |
文化放送 | 菅野詩朗 |
テレビ神奈川 | 森田浩康 |
毎日放送 | 牛久保一 |
エムエムNACK5 | 吉野麻子 |
4.OBクラブ活動
プロ野球人生60年周年の王貞治さんをゲストに迎えて
-2019年度総会・懇親会-
東京プロ野球記者OBクラブは6月18日、東京・内幸町の日本プレスセンターで2019年度総会・懇親会を開き、総会で新人事を承認。懇親会は、福岡ソフトバンクホークスの王貞治会長を招き「プロ野球人生60年」を祝した。
総会は、会員30人が出席。役員人事は、菅谷齊会長(共同通信)をはじめ全員が留任。新たに4人の理事が就任した(詳細はホームページの「理事と名簿」に掲載)。露久保孝一事務局長(産経)から活動報告と今年度計画の説明があり、了承された。
2018年度の主な活動は、11月にプロ野球名球会40周年フェスティバルの前夜祭(東京ドームホテル)に出席とセ・パ対抗試合(東京ドーム)の観戦。東京運動記者クラブのプロ野球記者分科会会合に出席し、それぞれ交流を深めた。
懇親会では、王氏に対し、長年に渡る取材協力に感謝するとともに、これまでの功績を称え記念品を贈呈した。
王氏は1959年(昭和34)に東京・早実から巨人に入団してプロ野球生活をスタートした。通算868本塁打を放ち、巨人9連覇に貢献、三冠王2度に輝くなど長く球界に君臨した。
表彰の後、王氏は挨拶で「一つの仕事を60年間も続けてこられたのは幸せなことです。今後も球界の発展に尽力していきたい」と語った。パーティでは、大リーグ本塁打記録を抜いたときなどの取材をした記者たちと懇談、旧交を暖めた。
懇親会のゲストは王会長のほか、野球殿堂博物館の廣瀬信一前館長、庄司正信新館長、プロ野球名球会の松元潤一事務局長、アンダーアーマー総代理店の株式会社ドームの深瀬新市営業部長、東京運動記者クラブ・プロ野球分科会の石原秀知代表(共同通信)が出席した。
(王会長のインタビュー記事は別項で掲載)
ゲストのエモやんがユーモアたっぷりに名スピーチ
プロ野球記者OBクラブ総会&懇親会開催
-2018年度総会・懇親会-
東京プロ野球記者OBクラブは6月5日、2018年度総会を東京・内幸町の日本プレスセンターで開き、本年度の役員を決め、2月1日に公開したホームページなどの活動報告と計画案を説明した。
同クラブは今年創立12年目を迎え、会員は100名を突破(106名)、さらなる発展をめざし新たな船出をした。
役員は下記の通り。(○は新任)
▽会長 菅谷齊(共同通信) ▽副会長 吉田和夫(読売) 高田実彦(東京中日スポーツ) 真々田邦博(NHK)▽理事 露久保孝一=事務局長(産経) 荻野通久=会計(日刊ゲンダイ) 中野義男=イベント担当(フジテレビ) 田中勉(時事通信) 齋藤柳光(日刊スポーツ) 島田健(日本経済) 深澤弘(ニッポン放送) 寺尾皖次(テレビ東京) ○菊地順一(デーリースポーツ) ○蛭間豊章(報知) ○山田収(報知) ○西村欣也(朝日) ▽監事 戸田駿(毎日) ▽顧問 田口雅雄(日刊スポーツ) 下村喜彦(デイリースポーツ) 岡田忠(朝日) 高山智明(スポーツニッポン)
総会に引き続き行われた懇親会には、ゲストに17年秋の叙勲で旭日中綬章を受章した江本孟紀氏、来賓として野球殿堂博物館の廣瀬信一館長を迎えた。
懇親会は真々田邦博副会長の乾杯で始まり、江本氏に菅谷齊会長から受章記念として置き時計を贈呈した。続いて広瀬館長から日本で初めての野球専門博物館を運営する公益財団法人としての博物館の歴史、イベント開催内容などについての話があった。
この後、江本氏がユーモアを交えてスピーチ。1971年東映フライヤーズに入団。移籍した南海、阪神で活躍し、81年秋に現役を引退した。働き口に困っていたところ、マスコミから「拾ってもらった」とラジオ解説者、スポーツ紙評論家の仕事に就いてスタートした苦労話を披露。野球界の裏話などを話した後、最近、問題になっている日本大学アメフットの悪質反則プレーを取りあげた。プロ野球の「乱闘事件」などとの関連で、400勝投手で野球解説者の金田正一氏とは「激論」を交わしたという。江本氏は、病気も回復して元気いっぱい。古希(70歳)を過ぎて「孫のことと病気のこととを話題にする年齢になった」と笑みを浮かべたが、プロ野球ОBとして球界の発展を願い、さらに情熱的にネット裏で仕事をしていく意欲を示していた。(了)
-深澤弘さんのささやき-
江本さんの話を、うなづきながら聞いていたのはニッポン放送アナウンサーの深澤弘理事。
「エモやんが現役引退した後、僕が真っ先きに電話したんだ。うちで解説者にならないか、とね」と、37年前の出来事を懐かしがった。「会社からは“あんなことをしゃべる人だから、大丈夫か?”といわれたけど、僕は“いや、心配ないです。きっといい解説ができますよ”と説得したんだ」とのこと。
“あんなこと”とは、阪神時代の江本さんが先発登板した1981年8月26日の試合での出来事。8回で交代を命じられて退いた後にに語った「ベンチがアボやから野球がでけへん」という発言である。新聞に大きく報道され話題になった。それを会社が確認したわけだ。
大阪の江本さんに電話をかけ、飛行機の切符を送るから東京に来てくれ、とスカウトした。江本さんは「就職先」に不安を感じていたときだったので、誘いの言葉に胸を熱くした。解説者としてのプレー分析、名調子、毒舌、饒舌・・・深澤さんとの名コンビで「ショーアップナイター」のラジオ実況を魅了した。
「彼の第二の人生を手助けしてうれしい」と、深澤さんはそのきっかけとなった“あの日の会話”を思い出していた。(司会・露久保)
ホームページ再開を決める
-2017年度総会・懇親会-
東京プロ野球記者OBクラブの2017年度総会は4月27日、東京・内幸町の日本プレスセンタービル内で菅谷齊会長(共同通信)をはじめ理事、会員25名が出席して開かれ、本年度決算、役員新人事などを承認し、本年度の主な活動としてホームページの再開を決めた。
その後、プロ野球殿堂入りが決まった元大洋ホエールズ(現横浜DeNAベイスターズ)の平松政次氏を表彰し、記念品を贈った。
引き続き、懇親会に移り、岡田忠顧問(朝日)の乾杯で開会。その中で平松氏に殿堂入りの感想、かみそりシュートを武器にした現役投手時代の思い出などを語ってもらった。出席者からは、ユーモアにあふれた野球人の情熱、目標、努力の話に感動し、大きな拍手が沸き上がった。
各会員がそれぞれ記者時代の取材での思い出話、自慢話、裏話などを語り合い、楽しいひとときとなった。クラブ一同、さらに協力力態勢で取り組んでいく決意を新たにして散会した。