「あきらめない」-再起を期す男たち(露久保孝一=産経)

▽戦力外通告106選手、目立ったソフトバンク

「今年は20勝を目指す」「なんとしてもホームラン王を取る」「三冠王を取って球界ナンバーワンになるぞ」-。
 2019年という新しい年が幕を開け、プロ野球の選手たちの初夢はデッカイ。心は早くもペナントレースに向かっている。
 しかし、中には目標を失った選手たちもいる。野球をする環境を変えざるを得なくなり、苦境に追い込まれた選手たちである。
 18年11月、12球団は戦力外通告を発表し、合計106選手が、いわば「解雇」通告を受けた。
 2年連続日本一に輝いたソフトバンクは、シリーズ後に大量11選手に戦力外通告を出した。その前に出されていた育成契約選手を含めて計19選手が対象者となった。五十嵐亮太、摂津正、寺原隼人各投手、吉村裕基、城所龍磨両外野手らチーム貢献者らに「来季の契約を結ばない」旨を伝えた。

▽「就職浪人」から復活する日を待つ

04年に37セーブを挙げたリリーフ男の五十嵐と、07、11年に各12勝をマークした寺原はヤクルト移籍が決まったが、ほとんどの選手は「再就職」できるかどうか未定のまま年越しとなっている。
 08年にシーズン38本塁打している吉村は、野球界に残りたいと再起を目指している。俊足と強肩が売り物の城所も同じ思いだ。吉村、城所は巨人・青山誠外野手、ヤクルト・吉野正人投手ら40数選手とともにトライアウトに挑んだ。城所は、4打数2安打1四球の結果を残したが、他球団からの誘いはなかった。
 参加した選手は、他球団から獲得の意思を示された選手もいたが、多くの選手は引退の瀬戸際に立たされた。
 しかし、就職浪人に立たされた選手たちはプロに憧れ、プロでの立身出世を夢見て練習に励んできた者ばかりである。挫折を乗り越え、這い上がってくる日をファンは待っている。
 「戦力外通告」の悲哀を味わった男たちの中にはプロ野球界とは違う人生を歩んでいくかもしれないが、静かに見守っていきたい。(了)