◎20勝投手に1億円のボーナスを

 名球会が困っている。「投手の候補がいなくなる」と。
 会員資格は投手が200勝、250セーブ、打者2000本安打。投手の200勝の候補が年々少なくなっている。
 昨年10月に亡くなった金田正一は400勝を残した。シーズン20勝で20年間である。「化け物の記録」といわれているが、だれも異論はないだろう。すごすぎて参考にならない記録、と言った方がいい。
 現在、シーズン20勝が不可能になっている。最も最近の20勝投手は田中将大(現ヤンキース)。楽天時代の2013年に24勝。負けなし、勝率10割。「マー君、神の子、不思議な子」と野村克也監督が口走った快挙だった。
 21世紀に入ってからの20勝投手は田中のほか、08年の岩隈久志(楽天)が21勝。03年はセの井川慶(阪神)、パの斉藤和巳(ダイエー)がともに20勝で、4人しか出ていない。
 いまや15勝で最多勝のタイトルが取れる時代である。19年は沢村賞が「該当なし」。オールドファンには寂しい限りだろうと思う。
 この希少価値のある20勝投手に「特別ボーナス」を出したらどうだろうか。それも“1億円”を。ただし、完封5、完投勝利10などの条件をつけて、だ。男子マラソンで「日本記録更新で1億円」が話題になったばかり。プロ野球ならそのくらい出せるだろう。(菅谷 齊=共同通信)