「野球とともにスポーツの内と外」-(佐藤彰雄=スポーツニツポン)

◎接近するプロとアマの差
プロボクシングのWBA世界ミドル級王者・村田諒太(帝拳)は、2013年8月25日のプロデビュー戦で、東洋太平洋ミドル級王者の柴田明雄(ワタナベ)を2回TKOに下しました。
いくら村田が2012年ロンドン五輪ボクシングの金メダリストといっても、この段階ではまだアマ。柴田は歴戦のプロ、しかも東洋太平洋王者。パワーで押しまくられた惨敗に後日談…柴田へのおこごとはハンパなかった、と聞いています。
▽採点法が差を縮めた
かつてボクシングほどプロとアマの差が大きいスポーツはないと言われてきました。
一撃必殺のKOパンチがプロ。倒すよりコツコツ当てるパンチがアマ。戦い方による大きな差は、しかし、年月を経てコツコツ当てるジャブなども有効打とされるようになり、手数と単発パンチは採点で対等となりました。
それがプロとアマの差を縮めた大きな理由です。
▽ゴルフでも光るアマ勢の台頭
先日終了したゴルフの日本一決定戦「日本オープン」(10月18日最終日=千葉・紫CCすみれコース)で“異変”が起きました。第1日を終えてトップ10(9位までの計16人)にアマが5人も名を連ねていたのです。
首位に1打差の2位タイに河本力(日体大3年)と桂川有人(日大4年)の2人。9位タイに中島啓太(日体大2年)、大嶋宝(岡山・関西高2年)、米澤蓮(東北福祉大3年)の計5人です。
アマチュア旋風は第2日も続き、河本が単独トップに立つなど2位までの5人に3人のアマが入り、河本はその後の決勝ラウンドでも優勝戦線で粘りました。
女子ツアーを含めてアマ、あるいは新人勢がグイグイと台頭、プロを脅かしています。メンタル・ゲームのゴルフは経験第一と言われますが、アマ軍団はJGA(日本ゴルフ協会)の強化策に沿って既に結構な経験を積んでいるのですね。それがアマとプロの差を縮めています。
▽期待される即戦力勢
さて…プロ野球界は10月26日にドラフト会議を終えました。
今ドラフトの注目、近大の佐藤輝明内野手、早大の最速155キロ左腕・早川隆久投手ら期待される即戦力は、阪神、楽天がそれぞれ交渉権を獲得しました。プロとアマの差が接近する昨今。彼らがプロの世界でどれだけの力量を発揮できるか、観(み)る側の楽しみです。(了)