「100年の道のり」(49)日本プロ野球の歴史-(菅谷 齊=共同通信)

◎本格スタートの大会で阪神と巨人が勝ち点で並び決定戦へ
 プロ野球の最初の優勝チームは巨人である。1936年(昭和11年)秋の第2回日本野球選手権のことだった。このプロ野球がスタートした年は、春に第1回日本職業野球リーグ戦、夏に連盟結成記念全日本野球選手権を行っているが、優勝チームを決めていなかった。
 秋は9月半ばからの大阪大会(総当たり)名古屋大会(トーナメント)大阪大会(トーナメント)東京大会(総当たり)大阪大会(総当たり)東京大会(総当たり)の順で試合が行われた。2種類の試合形式が盛り上げる役目を果たした。
 参加は、東から巨人、セネタース、大東京、名古屋、タイガース(以下阪神)、阪急の7球団。トーナメントで1位になったチームには1点を与える。金鯱、総当たりでは1位が2チームになった場合、プレーオフを行わず両チームに0.5点ずつとする。6大会を通じて点数が同じになった場合は優勝決定シリーズ(3試合制)を行うという変則ルールだった。
 その結果は次の通りとなった。
 ・9月18-29日 大阪大会(甲子園)  巨人1点
 ・10月4-6日  名古屋大会(鳴海) 阪神1点
 ・10月23-27日 大阪大会(宝塚) 巨人1点
 ・11月3-12日 東京大会(上井草) 阪神0.5点 名古屋0.5点
 ・11月14-23日 大阪大会(甲子園) 巨人0.5点 阪神0.5点
 ・11月29-12月7日 東京大会(洲崎) 阪神0.5点 阪急0.5点
 巨人と阪神が2.5点で並んだ。両チームによる優勝決定シリーズが行われることになった。
▽7チームの勝利数(球団、監督、勝敗)
 ・阪 神(石本秀一)24勝6敗1分け
・巨 人(藤本定義)18勝9敗
 ・阪 急(三宅大輔)17勝12敗1分け
 ・名古屋(池田豊)12勝14敗
 ・セネタース(横沢三郎)12勝16敗
 ・金 鯱(岡田源三郎)9勝19敗
 ・大東京(伊藤勝三・小西得郎)5勝21敗2分け
▽個人記録
 -打 者-
 ・打 率 3割7分6厘(93打数35安打)=中根之(名古屋)
 ・得 点 30=藤井勇(阪神)
 ・安 打 40=藤井勇(阪神)
 ・本塁打 2=古谷倉之助(金鯱)山下実(阪急)藤村冨美男(阪神)
 ・打 点 23=古谷倉之助(金鯱)
 ・盗 塁 16=苅田久徳(セネタース)
 -投 手-
 ・勝 利 13(2敗、15試合)=沢村栄治(巨人)
 ・勝 率 10割(6勝、8試合)=景浦将(阪神)
 ・防御率 0.79(57回)=景浦将(阪神)
 ・投球回 133.2(24試合)=内藤幸三(金鯱)
 ・三 振 139(打者602)=内藤幸三(金鯱)
 球史に残る選手の名前が登場している。巨人と阪神の3試合シリーズは12月9日から東京の洲崎球場で始まった。(続)