「セ・リーグDH採用で球界が変わる?」―(山田 收=報知)

第25回 ナ・リーグDH制と日本への影響②
 今季(2022年)からDH制を採用したナショナル・リーグ。この原稿を書いている時点で、開幕して50日弱。何か変化はあるのだろうか。MLBウオッチャーでもある当クラブ理事の蛭間豊章さんに尋ねてみた。「代打が激減したと思います。これまでならピッチャーのところで、代打起用があったが、それがなくなったわけで、スタメンから外れた野手の出番がかなり減った印象です」。
 一方で、選手を助ける制度にもなっているという。「いわば、打つだけの選手の働き場を15人分増やした」からだ。また、故障で本来ならIL(故障者リスト)入りするところが、試合出場できる例もあるという。昨年、2度目のナ・リーグMVPを受賞したブライス・ハーパー外野手(フィリーズ)だ。本来は右翼が定位置だが、5月12日、右肘内側側副靭帯の一部断裂というアクシデントに見舞われた。「4週間は投げられない」という診断で、従来なら即IL入りだったが、打撃はOKということで、DHでの出場となった。 
 今季はコンディションが上がらず、DHとの併用だったというが、今回の故障をきっかけに、1か月はDH専任となりそうだ。昨年のOPS(長打率+出塁率)が1.044という強打者であるハーパーはこんな感想を口にしている。「DHとして出場することは、僕にとって大変なことだ。打撃と守備両方するのではなく、1日中バッティングのことを考えないといけない」ナ・リーグ育ちがぶつかる壁への思いを露わにした。
 同様のことが、日本のセ・リーグでも起きるのだろうか。歴史を紐解いてみても、大リーグで導入された制度やルール変更などは、1~2年後に日本で実施されている。DH制がパ・リーグで採用されたのは、アメリカン・リーグが導入して2年後のことである。
 「でも」と異論を挟んだのは3度の3冠王を誇る落合博満氏。セ・パ両リーグでの現役時代、中日監督時代でもDH制の試合を経験している。自らが出演する公式YouTubeチャンネル「オレ流チャンネル」で「アメリカでやったものが、次の年に導入されるというのは、もうそろそろピリオドを打っていい。日本独自の野球形態があっていいような気がする」と持論を述べている。
 ちなみに落合氏は実働20年2236試合に出場しているが、DHはわずかに17試合。最晩年の日本ハムの2年間ではゼロだった。「もしセの監督の立場だったら、反対する。2つのリーグに違いがあっていい」との主張は、以前の拙稿の中で紹介したDH反対論の言い分と共通するものだ。
 翻って導入したMLBではどんな意見があったのだろうか。昨年のワールドチャンピオン、ナ・リーグ、ブレーブスのブライアン・スニッカー監督は賛成の立場を取った。「マックス・フリード(ブレーブス)、アダム・ウエインライト(カージナルス)、マディソン・バムガーナー(Dバックス)のように打てる投手(3人ともシルバースラッガー賞受賞者)はいるけれど、彼ら1人に対して15人くらい打てない投手がいる。以前は反対だったが、現在は賛成だ」。(続)