「大リーグ見聞録」(95)-(荻野 通久=日刊ゲンダイ)

◎MLB監督人事に地殻変動
▽大学野球部監督を招聘
 今年(2026年)のMLBは9人の新監督が誕生した。そのうち6人が初めてメジャーで指揮を執る。25年6人、24年2人と比べて多いだけでなく、ユニークな指揮官が多い。
 SFジャイアンツのトニー・べネロ(47)はテネシー大の野球部監督から転身。プロを経ずのMLB監督は初。大学監督としては7年間で勝率.722の実績を残している。
カート・スズキ(エンゼルス監督に就任)やOB捕手のN・ハントリーらも候補にリストアップされていたが、「大学球界で最も輝き、最も革新的で、最も尊敬されている監督の一人」と評価する編成本部長のP・ポージーが招聘した。契約は3年。
31歳のブレイク・ブテラを招いたのはW・ナショナルズ。ブテラは31歳。T・レイズでコーチ経験はあるが、1972年以降ではMLB最年少監督だ。さらにGMのキランビが31歳、編成本部長のトボーニは35歳でともに新任。ブテラはボストン大でコミュニケーション学を専攻。キランビはUSバークレー大で経営学、統計学を学んだインテリだ。監督、GM,編成本部長が揃って最年少はMLB史上初めてのケース。
さらにコーチ陣も最年長が50歳で、他はすべて30、40代だ。
「若いスタッフになったが、意図したものではない。結果的にそうなった」
とはトボーニ編成本部長。ナショナルズは過去6年間で5度ナ・リーグ東地区最下位。ちゃぶ台返しのような大改革だ。
▽変わる監督の評価基準
エンゼルスのカート・スズキ(42)は同チームで活躍した捕手。エンゼルス時代の大谷とバッテリーを組んだこともある。フロントから現場に戻ったが、当初は泡沫候補に思えた。大物OBのA・プホルス(通算703本塁打)、T・ハンター(9年連続ゴールデングラブ)の名前が挙がっていたからだ。結局、大物とは条件面で折り合わず、スズキにお鉢が回ってきたようだ。新監督なのに契約はわずか1年。だからなのか、フロント幹部はスズキにコーチ陣の選任を一任。現コーチ陣には「辞めたい人は他チームに移籍していい。自由だ」と伝えたと報じられている。「スズキの好きなようにやらせるが、成績次第では今季限り。来季は知名度のある監督を据える」が球団の考えか。
9球団の監督交代によって、B・ボウチー(WS制覇4回)、B・メルビン(最優秀監督3回)、R・ワシントン(監督で通算700勝以上)らベテラン指揮官がユニホームを脱いだ。これまでは経験や実績が重んじられてきたMLBの監督人事。ITの活用で戦い方も変化している。新監督の成績によっては、さらなる地価変動が起こることになろう。(了)

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