◎ファーム(菅谷 齊=共同通信)
戦力の厚さが勝利に結びつく。充実したファームがそれを支えている。育成選手制度は良い知恵である。現在は二軍だけでなく、三軍があり、四軍も。ルーキーリーグから始まる大リーガー育成と同じ形式といっていい。
日本球界のファームはいつから組織されたのか。
きっかけは「選手が増えすぎた」から。戦後の1948年(昭和23年)のことで、金星が初めて二軍を作った。わずか半年ほどで解体した国民リーグの選手を引き取ったため選手が40人を超えた。20人ほどが一軍の試合に出場できない事態になったからだった。
同じ選手増加だった急映フライヤーズも二軍を構成。この2チームが帯同して北海道遠征を行った。これがきっかけで巨人をはじめ各球団が二軍を設けた。
それが発展。52年に関西ファームリーグが出来た。南海、阪神、名古屋、阪急、西鉄、松竹に加え山陽電鉄の7チーム。翌年、新日本リーグが誕生し、巨人(本拠・横浜)国鉄(大宮)中日(静岡)阪神(神戸)広島(呉)洋松(小倉)の6チームが参加した。
現在のイースタン・リーグ、ウエスタン・リーグは55年からである。一軍とは違うニックネームがついた。
▽イースタン=ジュニア・ジャイアンツ(巨人)フレッシュ・スワローズ(国鉄)グリッター・オリオンズ(毎日)ジュニア・スターズ(大映)チック・フライヤーズ(東映)ジュニア・ホエールズ(大洋)B・ユニオンズ(トンボ)
▽ウエスタン=阪神ジャガース、南海ホークス、阪急ブレーブス、中日ダイヤモンズ、広島グリーンズ、西鉄ライオンズ、近鉄パールズ
この育成制度はのちの優れた選手を生み出した。MVPに選ばれた巨人の大友工(投手)毎日の山内一弘(外野手)南海の野村克也(捕手)と岡本伊佐美(内野手)らである。
そしてチーム名が面白い。イースタンはニックネームを一軍と同じ、ウエスタンの多くは一軍と同じだったが、阪神と広島は一軍と異なるニックネームをつけた。二軍戦でも地方に行き多くの観客を集めたそうである。その後のプロ野球人気をもたらした“小さな功労”といっていいだろう。(了)
