「野球とともにスポーツの内と外」(33)-(佐藤彰雄=スポーツニッポン)

◎さあ「新常識(新庄式)」のお手並み拝見!
 スポーツ新聞の日々の紙面づくりにあって“デスク泣かせ”の日というのは必ずあるものです。特に冬場、各界に動きがない日、あっても“帯に短しタスキに長し”の話題ばかりの日など、締め切り時間が近づいても1面が出来ず、冷たい汗がツツーと背中を伝うなどということは、私の経験でも年に2~3回はあったものでしたね。
 そういう出来事を振り返るとき「今のデスクはいいなァ」と思います。なぜって? 困ったときのシンジョー頼みですよ、日本ハムの監督に就任した新庄剛志(50)がいるじゃないですか。当番デスクは担当記者に「1面ネ~ぞ」と言えば、勇み立つ“新庄番”は必ず何かを出してきて、それは1面仕立てで読者に提供されることになるでしょう。
▽度肝を抜く新庄劇場
 それほど新庄監督はこのオフの主役でした。「『BIG BOSS』と呼んでくれヨ」で始まった昨年(2021年)11月4日、北海道・札幌市内で開かれた新監督就任の記者会見。自らを「ビッグ・ボス」と名乗るユニークさもさることながら、鮮やかなワインレッドのスーツ姿、両アゴが隠れるほどのハイカラーのシャツには度肝を抜かれたものでしたね。
 その日から「ビッグ・ボス」は飛び回ります。年末年始にかけてテレビをはじめとするメディアに出ずっぱり。「すべては日本ハムのため」とする新庄流“電波ジャック”は、プロ野球の枠を超えて社会全体にも波及、強烈なインパクトを残したものでした。
 友人との雑談中、スポーツにはあまり興味を示さない彼が「シンジョーという人だけどね」と話題に取り上げました。彼の指摘はなかなか核心をついたものがありました。つまり…「だいたいネ~。身を粉にして表に立って戦うのは兵隊だろ。指揮官は動かず、裏に回って戦況を見極め、采配するのが戦国の世からの常なんだけどね」-。
▽勝負はこれから
 確かにその通りです。それは皆が思っていることであり、目立ち過ぎる監督を“どうだろうなァ”と思いながらも、今は結果が出るときではないためにジッと見守っているのですね。
 その意味で真価が問われるのはこれからでしょう。そう、いよいよ“球春”到来です。プロ野球各球団は2月1日、一斉にキャンプイン。3月オープン戦、同月下旬開幕、とシーズンの幕を開けます。日本ハムのキャンプは、沖縄の1軍は名護市、2軍は国頭市で行われます。「オミクロン株」の感染急拡大で“無観客”となれば「ビッグ・ボス」も悔しがることでしょうが、
暴れまっせ! という、白い歯がきらめく不敵な笑みが「吉」と出るか、あるいは「凶」と出るか、新庄が放つ「新庄式(新常識)」の結果が出るのはこれからです。(了)