◎「球宴」と「休宴」(菅谷 齊=共同通信)

プロ野球の7月の風物詩といえばオールスター・ゲーム。当代の一流選手がそろい、技を競い合う。ファンは喜び、出場選手は重要なキャリアとなる。セ・パ2リーグになって2年目の1951年から導入し、その収入は選手の年金などに充てられていた。
 1933年に始まった大リーグでは「サマー・クラシック」とも呼び、秋のワールドシリーズの「フォール・クラシック」とともに2大ビッグイベンとなっている。日本では「真夏の祭典」と派手な命名をつけ、簡略して「球宴」と。野球の宴(うたげ)として認知されている。
 日本では長く3試合興業が続いていた(現在は2試合、ときに3試合)。そのころ、いわゆる“ズル休み選手”がたびたび見られた。ファン投票で選出されながら故障を理由に欠場、1週間ほどある球宴期間中に調整して後半戦に備えた。ファンを裏切る行為として非難を浴びた。「球宴」を「休宴」としたのである。今では欠場はペナルティがあるため不埒な選手はいなくなった。
 一方で、1チームの選手が大勢ファン投票で選ばれ、無理やり出場辞退させられた気の毒な選手もいた。また外国人選手枠があったころ、やはり人数過多で出場リストから消された外国人は、意味が分からず不信顔だった。つまりファン投票が反映されなかったのである。
 このようなイベントを日米で比較すると、大リーグはうらやましいほど明るく楽しそうである。ぜひテレビでその違いを確認してみては-。