◎チームのイメージ(菅谷 齊=共同通信)

球団の歴史を追うと面白い。裏を返せば、身売り、人気政策などの変遷でもある。
 たとえば、DeNA。プロ野球のリーグ戦がスタートした1936年(昭和11年)に参加した「大東京」がルーツである。翌年の秋季から40年まで「ライオン」となり、41年から「朝日」。戦後再開した46年「パシフィック(太平)」のあと、47年「太陽ロビンス」と初めてニックネームが付いた。48年に「大陽ロビンス」と太が大に変わったのは、打線が貧弱だったところから“点を取る”に掛けたそうである。
 セ、パ2リーグ制になった50年、今度は「松竹ロビンス」と名乗り、最初のセ・リーグ優勝を飾った。猛打が看板で“水爆打線”の異名を取った。ところが同じ時期にセに参加した大洋ホエールズと53年に合併し「大洋松竹ロビンス」(通称は洋松)となり、55年から「大洋ホエールズ」に戻った。それも78年に「横浜大洋ホエールズ」、93年に「横浜ベイスターズ」、2011年から現在の「横浜DeNAベイスターズ」と複雑な経路をたどった。
 西武も似ている。50年に「西鉄クリッパーズ」でスタートし、翌年に「西日本パイレーツ」と合併して「西鉄ライオンズ」に。73年から「太平洋クラブ・ライオンズ」「クラウンライター・ライオンズ」「西武ライオンズ」「埼玉西武ライオンズ」となっている。
 大リーグは都市+ニックネーム(例:ニューヨーク・ヤンキース)を維持しているが、日本は2リーグになると企業名+ニックネーム(例:阪神タイガース)が長く続いた。それが現在は9球団が都市名+企業名+ニックネーム(例:東京ヤクルト・スワローズ)を名乗っている。企業名+ニックネームは巨人、阪神、中日のセ3球団である。
 大リーグではニックネームが変わった例がいくつかある。ヤンキースは「ハイランダーズ」「ヒルトップス」を経た。「ヒューストン・コルツ45」は「ヒューストン・アストロズ」に。最近ではクリーブランド。「インディアンス」から「ガーディアンズ」となった。
 こうしてみるとチームのイメージが変わり、新鮮な感じを受ける。看板の書き換えは日本の得意技といえるが、新たな出発の決意として好意的に受け取られているケースが多い。プロ野球もその一つだろう。(了)