新ルール導入の功罪(菅谷 齊=共同通信)

「危険球」「コリジョン」「申告敬遠」「リクエスト」
 プロ野球に新たに加わったルールである。最初の二つは、プレーの安全性、あとは時間短縮、正確性を重視した。
 アマ野球にはタイブレーク方式が採用されている。延長のしかるべきイニングになると、走者を得点圏に置いて得点しやすくする新しいルールだ。
 野球というスポーツが様変わりしてしまった、と感じる愛好家は多いだろう。一度導入されたルールは、よほどのことがない限り取りやめにはならない。したがって現行ルールを理解する必要がある。
 「危険球」と「コリジョン」はバッテリーにとって神経を使うルールである。
「危険球」は退場処分となる。極端な話、1回表の先頭打者に初球をぶつけたら、それで先発交代ということもありえるのである。
 「コリジョン」は走者のホームインを妨害した場合に適用される。本塁ブロックは捕手の技術の一つだったが、走者の体当たりによる負傷を避けるために採用された。
 その昔、阪急でプレーした大リーガーのダリル・スペンサーがおとなしい日本野球を「スカートをはいてプレーをしている」と評したことがあった。いまのプロ野球を見たら彼は
何とコメントするだろうか。
 野球のルールは1845年、米国ニューヨークでアレクサンダー・カートライトが最初に作った。彼のチーム名を取って「ニッカボッカーズ・ルール」という。以来、野球はルールの変遷と二人三脚で発展してきた。その多くがファンが納得するもので、キーワードは「面白くなるルール」だった。
 現在、新たに導入されたルールは、面白さという点で合格点を得られるかどうか。ルールは必ず功罪を生む。(了)