「大リーグ見聞録」(51)-(荻野通久=日刊ゲンダイ)

◎「ビッグボス」新庄監督はメジャーならクビ?
▽「レギュラーは横一線」
 プロ野球は3月25日に開幕。労使協定の決裂からロックアウトした大リーグも4月8日(現地)にスタートする。この間、話題をさらったのが「BIGBOSS」こと日本ハム新庄剛志監督だ。キャンプ、オープン戦を通じての発言、言動の中には物議をかもすものもあった。中でも気になったのがこんなセリフだ。
「レギュラーは決まっていない。横一線だ」
 これがもし大リーグの監督の発言なら問題になっただろう。主力選手は面白くないし、その代理人も黙っていないだろう。選手によっては出場試合や打席数などでインセンティブ契約をしている選手もいる。それが公式戦も始まっていないのに「横一線」では納得しない。
新庄監督はこんなことも口にしていた。
「コーチの皆さんは結果が出なかったら、1年間でクビになってもらいます」
これまたメジャーではひっくり返るようなセリフだ。コーチは球団が契約して雇っている。監督が給料を払っているのではない。メジャーでは監督は「ゼネラル・マネジャー」と区別して「フィールド・マネジャー」と呼ばれることがある。
権限が及ぶのはあくまで現場であるからだ。コーチ人事はGMの仕事であり、明らかな越権行為である。
▽「仁義」はもはや死語
もちろん、新庄監督もそうしたことは百も承知のはずだ。日本ハムは昨シーズン後に西川遥輝、太田泰示の主力打者を放出、野手はヌニエスとアルカンタラの外国人を獲得した。しかも、昨季はリーグ5位。誰にもチャンスがあると発言することで選手のやる気を引き出し、チームを活性化させるとともに、コーチに危機感を持たせるのが狙いだろう。実際、今季初戦から新庄監督は昨年とはがらり一変したオーダーで戦っている。どういう結果になるかは半年先のお楽しみだ。
スタメンといえば、1983年(昭和58年)の開幕前に中日の近藤貞雄監督がこんな話をしたと聞いた。
「開幕戦は昨年のレギュラーを使う。リーグ優勝に貢献した選手を使うのが仁義だろう」
中日はその前年、巨人との競り合いを制しリーグ優勝。近藤監督は「仁義」を守り、83年の開幕戦は前年のレギュラーで戦った。打順に変更はあったが、野手8人は同じメンバー。先発投手もリーグ優勝試合の小松辰雄だった。
選手の移動が盛んになり、外国人選手の枠も拡大。監督の考え方も変わった昨今の球界では「仁義」はもはや死語だろうか。(了)