「セ・リーグDH採用で球界が変わる?」―(山田 收=報知)

第27回ナ・リーグDH制と日本への影響④
 前回の続きで2022年の交流戦を振り返ってみる。全体の半分54試合がパ・リーグの本拠地球場で行われ(DHが使える)、パ30勝、セ4勝の結果だった。前もってお断りするが、以下の数字は個人的な手集計によるもので、完璧ではないとお伝えしておく。
 セ6球団のDH成績が低迷したことは前回述べた。21年はオースティン(DeNA)、サンズ(阪神)、福留(中日)らOPS(長打率+出塁率)が1を超える選手がいたが、22年は皆無。A・マルティネスが打率.280、1本塁打、2打点が目立つくらいで、リーグ戦同様、投手陣に抑え込まれている印象が残った。
 翻って、パ・リーグを覗いてみると、西武・栗山(打率.385)、ソフトバンク・柳田(.333)、デスパイネ(.313)、楽天・浅村(.300)とレギュラーシーズンでの経験者が打率3割をマークした。
 交流戦全体(108試合)の成績をみてみると、打率は21年.259⇒22年.244、本塁打は218本⇒150本と下降した。一方、防御率は4.02⇒3.05と1点近くも良化している。とくに阪神は1.96で史上3チーム目の1点台を記録した。交流戦2位の勢いに乗って、開幕直後の連敗地獄で16まで増えた借金を球宴までに完済。2位タイで後半戦に突入した。22年に関していえば、リーグ戦の投高打低という大きな流れの延長上にあったといえる。
 セのDH選手については、これぞDH向きと言える新たな候補者は見当たらなかった。事前には巨人・ウオーカーに密かに期待していた。メジャー経験はなく、米独立リーグで主にDHとしてプレー。守備に大きな不安があるだけに、打撃力を生かせるDHは最良の選択と考えていた。残念ながら、8試合に先発出場、32打数7安打、1本塁打、4打点、打率.219と、ほぼ初対戦のパ投手陣に抑えられた。もしもセがDH採用に向くとしたら、現状では各球団とも新たな戦力補強(例えば、新外国人獲得や、パとのトレードなど)に動かざるを得ないというのが、交流戦から受けた思いだ。
 さて、DHに関していえば、日本の先を行くMLBで今年(22年)採用された“大谷ルール”が世界基準になりそうだ。「先発投手が降板後もDHとして出場可能」という新ルールが、WBSC(世界野球ソフトボール連盟)の公認大会で適用されるというニュースに驚いた。日本がらみでいえば、来年3月に開催予定のWBCはMLB主導ではあるが、WBSCが公認した世界一決定戦だ。
 そこに、MLBでは現状、大谷翔平しか恩恵を受けていない新ルールを国際大会にまで広げるのは、大谷をWBCに引っ張り出したいMLBの思惑なのか。近視眼的にいえば、日本人にとっても、世界の舞台でSHO―TIMEが見られるのは(彼が出場すれば)楽しみではある。
 トップチームだけでなく、年代別のW杯でも同様の規定が適用されるということで、NEXT OHTANIを目指す子供たちにとっても、二刀流の可能性が目の前に開けることになる。大谷ルールの出現で、DHはさらに“進化”を遂げていくかもしれない。セ・リーグDH採用は現実的な課題だと思うが、どうだろう。
(了)