「セ・リーグDH採用で球界が変わる?」-(山田 收=報知)

第22回 2021年のDHを総括する(3)
 今回は、21年シーズンのパ・リーグのDHの姿を眺めてみよう。チーム単位でDHの成績を振り返ると、打率では①日本ハム.285②西武.2612③ソフトバンク.2608④ロッテ.217 ⑤オリックス.212⑥楽天.209となる。お気付きだろうか。打率上位3チームの最終順位はBクラス。4~6位がAクラスだ。長打率も①ソフトバンク.484②日本ハム.467③西武.385④オリックス.365⑤ロッテ.358⑥楽天.330と、同様だ。
 本塁打はソフトバンク(24本)、打点は日本ハム(88)がトップ。最下位は両部門とも楽天(12本、47点)。トータルで見ると、日本ハムのDHは、本塁打こそ少ない(15)が、打率も高くチャンスに強い。
 付け加えると、DHが採用された1975年から2021年までの47シーズンの中で、チームDH打率リーグトップを、日本ハムが15度もマークしている。2017年からの5年間では4度だ。殊に17年の.335は、史上最高打率である。この年は大谷翔平が主軸DHであり、その後も中田翔、近藤健介と日本人が重責を担ってきた。
 当然、それは個人記録の反映でもある。21年のベストナインDHに選ばれたのは、日本ハム・近藤健介外野手(18年以来2度目の受賞)。DHでは65試合、274打席に出場。打率.326、8本塁打、47打点。274打席はチーム全体の
49.10%で、もちろんチーム最多出場だ。また長打率.537、出塁率.439で数字的にレベルは高い。
 ちなみに、近藤の最終打率は.298。5年連続打撃ベスト10入りを果たしたが、1安打足りずに(447打数133安打)、5年連続3割を逃した。惜しい! 長距離打者ではないが、広角に安打を打てる中心打者である。もう1人の王柏融とともに2人で全体の約9割を占めている。
 日本ハムの場合、ともに左打者だが、2人を軸にDHを回していくのが、21年パ・リーグのパターン1だ。2人で全体の89.24%のファイターズに次ぐのが、86.37%の西武だ。20年ベストDHに選ばれた栗山巧と中村剛也の38歳コンビ。左の巧打者と右の長距離砲の組み合わせでシーズンを乗り切ったが、残念ながらチームは42年ぶりの最下位に終わった。
 パターン2は、DH戦略の王道(そんなのがあるのか)とも言うべき外国人複数軸タイプ。この代表格が覇者・オリックス。チーム最多出場(46試合179打席)のモヤと2番手(42試合150打席)のジョーンズに託した。残念ながら、2人とも打率は2割に達せず、結果的に守備に就いたり代打出場した方が、打撃成績は良かった。これがDH起用の難しさなのだろう。
 一方、チームの日本人選手で最も打席の多かった吉田正尚(21試合84打席)は、打率3割をマークした。2年連続首位打者だから、当然といえば当然だが、おそらく守備の負担軽減で、起用されたのだろうが、きっちりと答えを出していると思えた。他チームの分析は次回に。(続)