「セ・リーグDH採用で球界が変わる?」―(山田 收=報知)

第23回 2021年のDHを総括する(4)
 今回のトップバッターは2年連続2位となったロッテ。この球団には絶対的なDHはいない。右打者=レアード、山口 左打者=角中、マーティンの4人でチーム全体打席の82%を占めている。最も打席が多かったのがレアードの134。これは主軸DHとしては6球団で最少だが、打率.299は、近藤健介、中村剛也に次ぐ。しかし他の3人は打率2割前後と低迷した。
 レアードは投手5冠王の山本由伸(オリックス)から唯一複数本塁打を放ち、ベストナイン一塁手にも選ばれている。22年の課題は、もう1人のDHの柱をつくることだろう。2014~16年に在籍していたデスパイネは、最終年に全体の91%の打席に立ち、DHだけで24本塁打、87打点と活躍したが、ソフトバンクに移籍。その穴を井上晴哉あたりがカバー役として期待されたものの、結果として表れていない。今年もレアードとマーティンのコンビを軸に乗り切るしかないか。
 そのデスパイネが17年から加わったソフトバンク。魅力は長打力のまさにDHタイプだ。1年目には本塁打王(35本)、打点王(103)の2冠を獲得。自己最多の36本塁打をマークした19年と2度のベストナインDHに選出された。17年94.8%、18年78.5%、19年83.7%とチームのDH打席のほぼ8割以上を占めていたが、度重なる故障もあって、その後は精彩を欠いた。そのテコ入れとして、球団はヤクルトからバレンティンを獲得したものの、2シーズンとも思惑外れ。恐怖の2巨砲体制は画餅に終わった。
 昨年、右手負傷などで、37試合のみ出場だったグラシアルが主戦として復活するだろう。
もう1人の“穴候補”は、主砲の柳田悠岐か。3拍子揃った日本を代表する外野手だが、今やチーム最年長(今季34歳)。疲労度を考慮しながら、DHでの出場も増えるのではないか。ちなみに21年、DHでの出場は13試合59打席ながら、打率.357、長打率.804、出塁率.390、OPS1.194と破壊力抜群だ。藤本新監督がどう起用するか注目したい。
 最後は楽天。DHの成績だけを抽出してみると、打率が6球団最低の2割0分台と際立って低い。主軸が固定できずにいた印象だ。最多打席は島内宏明で165(29.9%)と少ない。島内といえば、楽天としては07年の山崎武司以来2人目の打点王になるなど勝負強い。得点圏打率も.328でリーグ2位なのに、DHでは打率.246と、“向き”ではないか。石井監督がDHとして起用した24人は6球団で最多だ。
 楽天は20年のシーズンまでは主軸DHに外国人を起用することが多かった。16年ウィーラー、17・18年アマダー、19年ブラッシュ、20年ロメロという面々だ。21年はディクソン、カスティーヨの2外国人がいたが、どちらも結果を残せなかった。当然ながら今年も新外国人次第だろう。ギッテンス(右=一塁手)、マルモレホス(左=外野手)のバットがキーポイントだ。
 ちなみに22年開幕戦のDHは、オリックス=ラベロ、ロッテ=レアード、楽天=和田恋、ソフトバンク=グラシアル、日本ハム=近藤健介、西武=栗山巧だった。(続)