「記録の交差点」(1)-(山田 收=報知)
1936年にスタートした日本プロ野球。2026年には卒寿を迎えます。記録のスポーツと言われる野球では、数字を媒介として時空を超えた過去との対決が重ねられてきました。このコーナーでは2023年現在、日本記録を持つ現役選手を基軸に、併せて新記録を目指す選手を追いながら、そのターゲットとなる記録保持者にも注目。時代の変化とともに、今や更新不可能ともいえる不滅の記録にも迫ってみよう、という欲張りな連載企画です。
第1回 坂本勇人(巨人)①
2023年5月31日、交流戦のロッテ・巨人戦(zozoマリン)で、プロ野球史上初の記録が生まれた。プロ17年目の坂本が成し遂げた遊撃通算2000試合出場。これがどれだけ凄い記録なのか。2位以下を眺めれば解る。②鳥谷敬(阪神など)1777試合③石井琢朗(横浜など)1767試合④吉田義男(阪神)1740試合⑤豊田泰光(西鉄など)1579試合…。球史を彩る名ショートが並んでいる。
遊撃手として史上最長の667試合連続フルイニング出場を果たした鳥谷以外は高校出身だ。プロ入り後早い時期にレギュラーを獲得、野手としては、捕手とともに最も過酷なポジションで出場し続ける難しさがある。ちなみに坂本は遊撃以外の守備は4試合のみである。
かつての偉大な遊撃手も年齢に抗い、肉体の衰えと戦い続け、死守してきたポジションを明け渡してきたのが、過去の歴史といえる。
その点、坂本は入団1年目にデビュー。翌2年目に当時レギュラーだった二岡智宏から定位置を奪い(この年、二岡は日本ハムへトレード)、19歳で巨人の正遊撃手となった。以降、巨人の中心選手の地位を築いた。併せて2000試合出場、2000安打の「トリプル2000」をマーク。巨人では長嶋茂雄、王貞治、柴田勲に次ぐ4人目の勲章を得た。
この記録を達成するにはまさに“丈夫で長持ち”が最重要になってくる。2022年、度重なる故障で2年目以降では最少の83試合出場に終わった。開幕22打席ノーヒットと出遅れた23年、盛り返しを見せた交流戦明けの6月23日、右太ももを負傷、登録抹消となった。戦線復帰後には、当面目指す日本記録がある。立浪和義(中日)が持つ通算二塁打数487である。坂本は現在430。坂本の早期復活を願いながら次回は二塁打を巡る話題に触れる。=記録は23年6月30日現在=(続)