「記録の交差点」(3)-(山田 收=報知)

第3回 坂本勇人(巨人)③
 前回出稿直後の7月28日、坂本が34日ぶりに1軍に復帰した。この日の中日戦(東京ドーム)での復活ぶりは、坂本らしかった。1回、第1打席が右越え二塁打、2回の第2打席が左翼線二塁打と“ミスター・ツーベース”らしい打撃。ついでに181度目の猛打賞のおまけつきだった。
 439本の二塁打は、NPB通算トップ・立浪の487本とは48本差。実働期間22年の立浪に対して、2023年がプロ入り17年目となる坂本。記録更新には、あと何年現役で頑張れるかにかかっている。2021年10月2日のDeNA戦、史上最年少(32歳9か月)で通算400二塁打を達成したことを考えると、大きな故障なく、毎年100試合以上出場していけば、ここ数年でクリアできると予想される。
 坂本自身、400二塁打達成の際「2000本安打より達成者が少ないということで、すごく価値あることなのかな、と思う」と発言。この記録へのこだわりを感じさせた。
 ではいつ頃、NO.1の座に就けるのか。1つの指標として、二塁打率(打数÷二塁打数)を使ってみる。1本の二塁打を打つのに要する打数である。NPB通算二塁打数上位者を見てみると①487立浪和義=17.89②449福本豊=19.47③448山内一弘=17.19④440金本知憲=20.26⑤439坂本勇人=17.96
 単純計算すれば、立浪を上回る488本には49本の二塁打を打たなければならず、そのためには880打数が必要となる。あくまで、従来のペースでいくことが前提で、ここ5年間の平均打数427を考えると、早ければ2年後の2025年、遅くとも2026年のシーズンには記録更新となるのではないか。
 話はさらに夢へと続く。ここまではNPBの話。最近はMLBでも活躍する日本人選手が増えて、日米通算二塁打数も気になるところ。立浪の記録を上回っているのは④松井秀喜499本(二塁打率18.24)③福留孝介520本(同16.82)②松井稼頭夫535本(17.74)①イチロー573本(23.65)。坂本が日本の二塁打王になった暁には、今度は通算500二塁打を目指してもらいたい。ちなみにMLBの最高記録はトリス・スピーカーの792本である。=記録は23年8月26日現在=(続)