「記録の交差点」(8)-(山田 收=報知)

第8回 中村剛也(西武)③
 2001年のドラフト2巡目で西武に入団した中村は、24年シ-ズンもプレーする。喜ばしい限りだ。ルーキーイヤーの02年は1軍出場がなく、24年は実働22年目。40歳7か月で開幕を迎える。代名詞の満塁本塁打でいえば、パ・リーグで40歳以上のグランドスラマーは、過去10人(11本)。最年長は、日本ハム・大島康徳で43歳6か月(セは金本知憲の42歳4か月)。1994年5月4日の西武戦(東京D)で記録した。なお、2本打っているのも大島だ。2021年8月22日、オリックス戦(京セラD)で22本目を放って以来、2シーズン満塁弾のない“おかわり君”(これも随分と懐かしいニックネーム)の復活弾に期待したい。
 さて今回は、不惑でシーズンを迎える中村が目指す大記録を取り上げようと思う。それは、過去8人しか達成者がいない通算500本塁打である。①王貞治868②野村克也657③門田博光567④山本浩二536⑤清原和博525⑥落合博満510⑦張本勲、衣笠祥雄504-がその8人。錚々たる顔ぶれだ。
 現在471本、歴代12位の中村は、大台まで29本。20年シーズンから9、18、12、17と20本以下が続いているが、23年オフの契約更改交渉の席上で「来年は、30本打つということは言っておきました」と、501本をターゲットにしていると明言したという。
 8人目の500本塁打達成は、2005年の清原(巨人)で、4月29日の広島戦(広島)、広池浩司から2177試合目で到達した。ちなみに中村は、23年終了時点で2042試合出場。135試合で29本塁打を打てば、達成試合順位で5位タイになる。この指標でのランキングは①王1723②落合2025③野村2041④山本2097⑤清原2177⑥門田2244⑦衣笠2626⑧張本2675となる。
 達成年代別にみると、1970年代2人(野村、王)、80年代4人(張本、山本、衣笠、門田)、
90年代1人(落合)、2000年代1人(清原)、10年代以降0。最近ではワンディケイドに1人出るかどうかの、偉大な記録というのがわかる。ポスト中村で500クラブ(実際にあるわけではない)に入会できる選手の出現の可能性は低い。
 現役で中村に次ぐ2位は中田翔(中日)で303(歴代43位)と大差がついている。日本人シーズン最多本塁打記録を持つ村上宗隆(ヤクルト)は6シーズンで191。岡本和真(巨人)は9シーズンで206である。2人がNPBでプレーし続ければ可能性が少しは広がるかもしれない。
 中村にとっては、先ずは清原がターゲットとなる。清原は最終的に実働23年で525本塁打。1本塁打に要した打数(本塁打率)は、14.88。14.85の中村とはほぼ同レベル。10.66の王は別格として、400本塁打以上で本塁打率上位者を眺めてみると、田淵幸一(474本)の12.04、タフィー・ローズ(464本)の13.52が光る。その田淵との差は3本。稀代のホームラン・アーティスト超えから、中村の挑戦が始まる。=記録は23年シーズン終了時点=(続)