◎野球競技の大改革(菅谷 齊=共同通信)
19世紀から続くベースボール(野球)の歴史を追うと、ルール変遷の歴史でもあることが分かる。手を変え品を変え、ファンが興味を示す改革を行ってきた。その努力の積み重ねが今日のゆるぎない人気を維持していると言っていい。
今年の夏、高校野球で「試合の7イニング制」が話題になった。大学や社会人、プロの世界にも影響する問題である。もし、それが実現したら歴史に残る大改革となるだろう。
米国から始まった野球のルールはこれまで“2大改革”があった。
第1は試合の勝敗が得点制度からイニング制度になったことである。本格ルールはアレクサンダー・カートライトが考えた、通称「ニッカボッカー・ルール」で、当初は21得点で勝負を決めていた。1857年、得点制度から9イニング制度を採用し、現在に至っている。
この9イニング制度は話し合いで決まった。6回、7回なども会議で出たという。カートライトは7回を提案したと伝えられている。6回の理由は、21得点のときは6回あたりで決着がついた試合が多かったからだった。それにもう一度打順一回りをして試合を盛り上げようという意見が多数を占め、それで3イニングを付け加えたという。
大改革の第2は指名打者(DH)制度。それまでの9人野球を投手の代わりに打撃専門をオーダーに入れ、投手は投球専門とした“10人野球”に変えた。大リーグは最初にア・リーグが導入し、日本はパ・リーグが追従した。大きな理由は「打撃戦で人気の獲得」だった。大谷翔平はいまや“DHの申し子”になっている。
7イニング制度の採用は第3の大改革というくらいのテーマで、それが導入されると、作戦はもっと緻密になり、仕掛けは早くなって奇襲戦法が随所に見られるかもしれない。たとえば1回表からスクイズ敢行など…。
現在、小学生や中学生は7回戦が多いから高校野球で7回戦になっても順応するだろう。高野連はテスト導入をするのか、令和の野球改革に注目である。(了)