◎投球回と打席・打数(菅谷 齊=共同通信)

王貞治は言った。野球選手がプロとなり、さらに一流に上り詰める過程を次のように示している。
1、 プロ野球の世界に入ること
2、 一軍選手になること
3、 試合に出場すること
4、 レギュラーになること
5、 成績を残すこと
6、 タイトルを取ること
いかにも堅実な王らしい言葉である。ほとんどの選手がこの道を通っている。最初の難関は「1」で、プロ入りするのは万に1人ほどのアマチュアのエリート。ここから職業の世界となり、それこそ1球に命を懸けていく。毎年100人ほどの選手がオフに球界を去って行くが、それが競争の厳しさを示している。
プロ野球選手の価値をどこに見つけるか。その大前提は、投手は投球回数、打者は打席数である。この数字が多いほど「チームに必要な選手」という証で、監督の信用と信頼度を表す。勝負どころで使われている、ということである。
たとえば投手。勝利数に目がいくのは当然だけれども、負け数の評価はまずされない。負け数が記録されるのは試合の重要場面を任される結果。監督が勝負をかけるときで、信頼がなければマウンドに送らない。
400勝投手の金田正一は298敗もしていた。勝ち負けの差が100しかない、という評価もあるが、とんでもない700試合も勝敗が絡んでいる場面で投げている。“黄金の左腕”はだからこそのニックネームなのである。
勝負どころで痛打を浴びて敗戦の責任を負わされた投手が次の試合でも同じような場面で起用されることがある。これこそ信用度、信頼度の証明といっていい。
打者の場合は打率が評価の第1基準となる。2割5分、つまり4打数1安打である。高い評価はあまり得られない。3割と2割5分の差はどれほどなのか。1週間6試合、1試合4打数とすると24打数。2割5分の打者は6安打。7安打で2割9分2厘、8本で3割3分3厘。1シーズンで比べると、500打数150安打で3割、125安打で2割5分。その差25安打。シーズンは25週ほどだから「1週間で1安打の差」でしかない。監督は1試合で判断するから1試合1安打を放つ2割5分の打者は外せない。
通算成績を見ると、試合数を超える安打を放った打者はほんの一握りしかいない。試合数に近い安打数を残した打者はだいたい2割7、8分である。
野球の見方として投手の投球回数、打者の打席・打数をしっかり見てほしい。投手は先発ローテーションに入ることが最高の評価をされる。試合の半分以上のイニングを投げるからである。打者の場合は守備力がセットになっている選手が多い。守備力を貢献度にプラスしている。
王の示す6項目を目安に試合、選手を見ると、野球の深みが分かる。(了)

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