「大リーグ見聞録」(96)-(荻野 通久=日刊ゲンダイ)

◎WBCとアーロン・ジャッジ
▽代表入りを監督に直訴
 今年(2026年3月開幕)の第6回WBCの各国代表選手が続々、発表されている。選手は国を代表して、公式戦とは異なるプレッシャーの中でプレーすることになる。
そんな中で注目は第4回大会以来の「世界一」を目指す、米国代表のヤンキースのA・ジャッジ(33)だ。MLBのHPによると、昨年4月、米国代表監督にマーク・デローサが就任すると、すぐさま人を通じて同監督に「WBCに出場したい」と直訴した。デローサも「監督に就任して、イの一番に頭に浮かんだ選手がジャッジ」と大歓迎。米国チームの代表選手第1号に選ぶと「人を引き付ける力がある」とキャプテンを要請した。
ジャッジは前回(2023年)も出場を希望したが、前年(2022年)シーズン終了後にFA宣言。シーズン62本塁打を記録したジャッジを巡って、複数球団が長く争奪戦を繰り広げた。結局、ヤンキースに残留したが、そうした事情もあって参加を断念せざるを得なかったという。
「前回のWBCはフロリダのキャンプ地で試合をテレビで見ていたよ」
とジャッジ。決勝戦で大谷がトラウトから三振を奪い、日本が優勝を決めたシーンをどんな心境で見ていたか、想像に難くない。ジャッジは準優勝に終わった前回の主将M・トラウト(エンゼルス)にも会い、大会に関する情報を収集。トラウトにも参加を呼び掛けている。
 ジャッジは薬物を使用しない選手として、公式戦で初めてホームラン60本以上を達成。サマンサ夫人は大学時代の同級生。2023年には慈善活動に熱心な選手に贈られるロベルト・クレメンテ賞を受賞。実績、記録だけでなく、チームメイトの信頼も厚く、ファンの好感度も高い。
▽何かと大谷と比較
 そんなジャッジの下にMLBの超一流選手が続々と結集している。昨年の両リーグのサイ・ヤング賞投手のT・スクーバル(タイガース)とP・スキーンズ(パイレーツ)、奪三振王のL・ウェブ(ジャイアンツ)、打点、本塁打2冠の捕手K・ローリー(マリナーズ)とDHのK・シュワーバー(フィリーズ)、最多安打のB・ウイットJR(ロイヤルズ)らがメンバー入り。さらに投手陣には昨季限りでユニホームを脱いだC・カーショー(元ドジャース)が引退を一時撤回して参加。MVP2回のスラッガー、B・ハーパー(フィリーズ)も名を連ねた。2人は前回、故障の保険問題や肘の手術で参加を諦めた経緯がある。
何かと大谷翔平(31)と比較されることの多いジャッジ。大谷にあって、ジャッジにはないひとつが「WBC世界一」の称号だ。WBC優勝となれば、2028年のロス五輪の野球競技も盛り上がり、ベースボールの人気にもつながる。
「我々のチームはミッションを帯びている」とのジャッジの言葉には、WBCに対する覚悟がうかがえる。(了)

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