「いつか来た記者道」(94)-(露久保 孝一=産経)

◎WBCニッポン放送よくぞやった
2026年3月におこなわれた第6回WBC(ワールドベースボールクラシック)は、日本は準々決勝でベネズエラに負けたが、国際大会にふわさしい盛りあがりをみせた。大谷翔平、鈴木誠也、山本由伸ら日本人選手の活躍で再び野球人気を高めた。
しかし、2023年大会で大谷、村上宗隆らが活躍したような全国ファンが喜びあった熱気とは違っていた。なぜなのか。それは、「いつも見られるテレビ中継」がなかったからだ。多くの野球ファンの会話は、「地上波で見られないから感動がわかない。日本のテレビ局は何をしているのだ」という話題に集中した。
今回のWBCの試合の模様は、米国の動画配信ネットフリックスによるインターネット配信と、ラジオのニッポン放送で生中継された。放映権はネットフリックスが独占契約を獲得し、テレビ地上波や衛星放送は排除された。テレビで視聴できるのは、ネットフリックと有料契約した会員のみとなる。この試合中継で注目されたのは、ニッポン放送である。
▽やっぱりテレビ中継で見たい
テレビ放送と違って、ラジオは「音声のみ」のため利用者は無料で聴衆できた。放映の例外として「ラジオ中継」が楽しめたのだ。ニッポン放送は侍ジャパンの全試合を実況生中継し、多くの聴衆者に興奮を伝えた。同局の檜原麻希社長は「2006年にWBCができてから必ず中継してきた。昨年(25年)も大リーグの開幕戦をやらせていただいた」と実績を強調した。看板番組の「ショーアップナイター」が26年60周年を迎える同局にとっては、無料の中継を実施できたことでネット上や野球界で「称賛」の声が相次ぎ、ホームランを放った気分に浸っている。
最近は、ボクシング世界チャンピオンの井上尚弥の試合やサッカー、女子ゴルフの試合など視聴者の見たい魅力のあるスポーツまでが、ネット独占によりテレビ地上波や衛星で見られなくなっている。
ネットフリックスの中継にかける予算は、けた外れに高いといわれる。26年のWBC大会の独占放送権は150億円もの巨額契約だったため、日本のテレビ局には高額すぎて手が出なかった。それでも、野球ファンはテレビ地上波で見たいと望んでいる。NHKと民放は何とか放送できるように頑張ってほしい、とテレビ界の中継権獲得の「勝利」に期待している。(続)

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