◎様変わりしたシーズン・オフ(菅谷 齊=共同通信)
プロ野球選手の契約は2月から11月までで、12月と1月はシーズン・オフとなる。オフの意味は仕事などから「離れる」「休む」など。
このオフが様変わりしている。
プロ野球選手のオフは疲労回復、患部治療などコンディションを整え、来たるシーズンに備えるという時期である。ところがこの時期に故障したりするニュースが最近は多い。今年3月のWBCでケガや調整不良で開幕に間に合わなかった選手はいた。
オフを練習や試合で過ごしているからだろう、という声は多い。休むべきときに働いている、との指摘である。その通りだと思う。
プロ野球は2月のキャンプから始まり、オープン戦を経てからペナントレースに入り、ポストシーズンのクラマックスシリーズ、日本シリーズとなる。超ロングランである。ところが主力選手は侍ジャパンで練習、試合が増えている。
公式戦を半年以上も続ける競技はほかにない。公式戦は1週間に平均6試合をこなし、しかも空き時間を練習に費やす。疲れが溜まるのは当たり前で、オフも同じようなことをしているのだから「休む間がない」とはこのことだろう。
長嶋茂雄は“山ごもり”して体調を整えたし、金田正一は“金田ナベ”をキャンプにも持ち込んだ。温泉での治療もある。最近は他球団の選手が合同で調整するなど知恵を絞っているけれども、WBCが導入されてから主力選手はオフの過ごし方が従来と変わっている。
オフにミスを犯したことで有名なのはヤンキースの監督を務めるアーロン・ブーン。2003年途中、トレードでヤンキースに移り、この年のレッドソックスとのリーグ優勝シリーズで、3勝3敗で迎えた最終戦の9回裏、サヨナラ本塁打。この一打で高額契約となったのだが、翌年2月のオフ、契約違反のバスケットボールをして左ひざジン帯を断裂。即刻「解雇」の憂き目に遭った。その後、数球団を渡り歩き、解説者となったのだが、ヤンキースの監督に迎えられたのは「管理能力」を評価されたからである。日本では考えられない懐の深さといえる。
近年は科学的な練習などが取り入れられている。有力選手は大リーグに取られ、主力選手のオフの不調が増加で開幕に間に合わないでは、ファンに失礼である。経営者はビジネスに熱心なようだが、その成功のカギを握るのはプレーヤー。“選手ファースト”を再考するときだろう。(了)
