◎プロ野球最高の選手は誰だ-クラブ員が選ぶベストナイン⑦完=表参照
【出席者】司会・山田收(報知)岡田忠(朝日)菅谷齊(共同通信)、露久保孝一(産経)、高田実彦(東京中日スポーツ)、荻野通久(日刊ゲンダイ)、真々田邦博(NHK)、小林達彦(ニッポン放送)、佐藤彰雄(スポーツニッポン)、財徳健治(東京)、菊地順一(デイリースポーツ)
山 田 最終回は座談会のメンバーが独自の視点でセレクトしたベストナインをながめていきましょう。(表①)推薦者から簡単にポイント説明を。日本人大リーガーについては、島田さんが欠席なので、露久保さんからお願いします。
露久保 プロ野球はどうしても甲子園出場者を中心としたスターが多い。一方で未出場者を調べると、実力派が結構いる。長嶋茂雄、金田正一、野村克也、山本浩二などオーソドックスに選ばれる人は外しました。
山 田 次は荻野さん。
荻 野 タイトル獲っていそうなのに、獲れていない選手を選びました。城之内邦雄は2度最多勝のチャンスがあった。65、66年に21勝しているのに、いずれも村山実が25勝、24勝して届かず。64年は防御率2.23だったが、ジーン・バッキーが1.89で無冠。阪神勢にやられている。タイトルを獲ってないのが不思議だ。
菅 谷 城之内はプロ入り5年で101勝している。すごいピッチャーですよ。
菊 地 松原誠は首位打者にならなかった?
荻 野 74、78年に最多安打はあるが、当時はタイトルではなかった。ベストナイン、ゴールデン(ダイヤモンド)グラブもなかった。みんな王貞治。運がない。
露久保 でも、タイトル争いはした。74、78年は打率3位だった。私が担当の頃だが、いつも最後に息切れして…。
山 田 私は消滅した球団に在籍した選手たちから選んでみました。最近では近鉄の例があり、印象の強いプレーヤーが多いのですが。調べてみると、名前しか知らない球団に在籍した凄い選手もいる。ビクトル・スタルヒンとか、西沢道夫とか。ジャック・ブルームはアメリカで偶然遭って、とても優しい人だったので(笑い)。でも2度首位打者を獲っている。
岡 田 坪内道典は立教大出身で、西本幸雄さんを「ニシ」と呼んでいた。守備も良かった。
菅 谷 坪内は日本で初の1000安打を打った人。殿堂入り(92年)もしている。
山 田 菅谷会長からは、今回の座談会の総集編ともいうべきベストナインを選んでもらいました(表②)。
菅 谷 攻撃ベストナインは大まかに言ってV9時代(B組)とその前(A組)後(C組)に分け、打順を並べてみた。現役も入れました。
真々田 張本勲を2番DHにしたのは?
菅 谷 打つだけだから(笑い)。本人も打ったことない。守備のベストナインはいいでしょう?
菊 地 広島の小坂佳隆は知らない。
岡 田 62年に二塁手でベストナインに選ばれた。グラブドスは抜群にうまかった。
菅 谷 小坂は天才肌。巨人にいたら大スターだった。大橋穣はトレードで阪急に来た。彼は西宮球場の外野の芝生を削って、守った。それぐらい、守備範囲が恐ろしく広く強肩だった。阪急のファンは彼の守備を楽しみにしていたから、ショートに打球が飛ぶとワーッと歓声が沸く。
財 徳 華麗に守るのは吉田義男。ダイナミックスさを加えて守備範囲の広さと強肩だったら、大橋だろう。
岡 田 吉田は二塁ベース寄りの守備がうまかったが、大橋は三遊間の守りが得意だった。まあ、阪神のサードには三宅秀史がいるからね。三塁寄りはお任せだった。
菅 谷 吉田は捕手のサインを見て、守備位置を変えた。高木守道と一緒。村山は吉田によく怒られた。「ムラ、サイン通りに投げろ」とね(笑い)。
岡 田 「2人は仲が悪いのか」と聞いたことがある。そしたら吉田は「ムラがサイン通りに投げないから、ベンチに帰って文句を言っただけ」ということだった。
菅 谷 B組の打順を見てください。クリーンアップは長嶋、王、田淵幸一。これが見たかった。全盛期なら3人で150本塁打は打ったんじゃないかな。王は選球眼が良くて、フォアボールを選んだし、歩かされたから。もしまともに勝負したら、ホームランは1300本ぐらいいったかも。
財 徳 王の四球は2390。規定打席の5年分はある。
山 田 最後は、戦後の生まれ年度によるベストナインです。ディケイド(10年)ごとに分けて、その年代のある年でチームを作ってみた(表③)。年度にした方がうまく救える選手がいる。90年代は最近であり、千賀滉大を入れるために、91、92年度としました(笑い)。
荻 野 53年度の投手は永射保?
山 田 私の生まれ年でどうしても入れたかったのですが、ご指摘通り弱点は投手。リリーフでルイス・サンチェもいたが、トータルの成績では他にいなくて…。
菅 谷 外国人を入れているのがこの会らしくていいね。また新たな視点で選んでみよう。
財 徳 女子アナと結婚した選手ベストナインはどう?(笑い)
(了)=敬称略=
▽もうひとつのベストナイン表①
◇日本人大リーガー◇ ◇甲子園未出場◇
投 手 野茂 英雄 投 手 江夏 豊
捕 手 城島 健司 捕 手 古田 敦也
一塁手 中村 紀洋 一塁手 大杉 勝男
二塁手 井口 資仁 二塁手 正田 耕三
三塁手 岩村 明憲 三塁手 落合 博満
遊撃手 松井稼頭央 遊撃手 真弓 明信
外野手 イチロー 外野手 山内 一弘
松井 秀喜 秋山 幸二
福留 孝介 屋舗 要
(青木 宣親)
DH 大谷 翔平 =選者・露久保 孝一
(一塁は中村だけ出場)
=選者・島田 健
◇タイトルに一歩及ばず◇ ◇消滅球団代表です◇
投 手 城之内 邦雄 右投手 スタルヒン(野茂英雄)
捕 手 城島 健司 左投手 鈴木啓示(大島信雄)
一塁手 松原 誠 捕 手 ハリス (梨田昌孝)
二塁手 立浪 和義 一塁手 西沢道夫 (飯島滋弥)
三塁手 島谷 金二 二塁手 金山次郎(佐々木信也)
遊撃手 石毛 宏典 三塁手 中村紀洋‘(ブルーム)
外野手 前田 智徳 遊撃手 苅田久徳(吹石徳一)
高橋 由伸 外野手 小鶴 誠(佐々木恭介)
田尾 安志 岩本義行(永淵洋三)
ローズ (坪内道典)
=選者・荻野通久 D H 土井正博(ブライアント)
=選者・山田 收
▽もう一つのベストナイン表② 選者=菅谷 齊
◎攻撃ベストナイン
A組 B組 C組
捕 手 野村克也 田渕幸一 阿部慎之助
一塁手 川上哲治 王 貞治 清原和博
二塁手 千葉 茂 高木守道 浅村栄斗
三塁手 中西 太 長嶋茂雄 中村剛也
遊撃手 豊田泰光 立浪和義 坂本勇人
外野手 山内一弘 山本浩二 松井秀喜
外野手 青田 昇 秋山幸二 青木宣親
外野手 大下 弘 イチロー 柳田悠岐
指 名 藤村冨美男 張本 勲 落合博満
右投手 稲尾和久 山田久志 斎藤雅樹
左投手 金田正一 江夏 豊 工藤公康
▽ 打順
1番 8青田 昇 9イチロー 8柳田悠岐
2番 9大下 弘 D張本 勲 2阿部慎之助
3番 5中西 太 5長嶋茂雄 D落合博満
4番 3川上哲治 3王 貞治 3清原和博
5番 D藤村富美男 2田淵幸一 7松井秀喜
6番 7山内一弘 7山本浩二 5中村剛也
7番 2野村克也 6立浪和義 4浅村栄斗
8番 6豊田泰光 8秋山幸二 9青木宣親
9番 4千葉 茂 4高木守道 6坂本勇人
◎守備ベストナイン
A組 B組
捕 手 森 昌彦 古田敦也
一塁手 松原 誠 駒田徳広
二塁手*小坂佳隆 篠塚利夫
三塁手 三宅秀史 岩村明憲
遊撃手 吉田義男 大橋 穣
外野手 広瀬叔功 福本 豊
外野手 高倉照幸 イチロー
外野手 中 利夫 高田 繁
投 手 足立光宏 堀内恒夫
注:*小坂は広島
▽もう一つのベストナイン表③ 選者=山田 収
生まれ年でみるベストナイン(戦後)
【1946年度生まれ】 【1974年度生まれ】
(46/4/2~47/4/1) (74/4/2~75/4/1)
投 手 星野仙一 投 手 黒田博樹
捕 手 田淵幸一 捕 手 清水将海
一塁手 藤原 満 一塁手 セギノール
二塁手 山崎裕之 二塁手 井口資仁
三塁手 衣笠祥雄 三塁手 フェルナンデス(西武)
遊撃手 基 満男 遊撃手 今岡 誠
外野手 山本浩二 外野手 松井秀喜
有藤道世 ラミレス
富田 勝 柴原 洋
D H ソレイタ D H ズレータ
【1953年度生まれ】 【1988年度生まれ】
(53/4/2~54/4/1) (88/4/2~89/4/1)
投 手 永射 保 投 手 田中将大
捕 手 梨田昌孝 捕 手 会澤 翼
一塁手 中畑 清 一塁手 ビシエド
二塁手 落合博満 二塁手 ソ ト
三塁手 羽田耕一 三塁手 宮崎敏郎
遊撃手 水谷新太郎 遊撃手 坂本勇人
外野手 真弓明信 外野手 秋山翔吾
田尾安志 柳田悠岐
クロマティ 梶谷隆幸
D H バース D H ロメロ
【1965年度生まれ】 【1991,92年度生まれ】
(65/4/2~66/4/1) (91/4/2~93/4/1)
投 手 山本 昌 投 手 千賀洸大
捕 手 古田敦也 捕 手 梅野隆太郎
一塁手 八木 裕 一塁手 バティスタ
二塁手 南渕時高 二塁手 山田哲人
三塁手 ゴメス 三塁手 中村奨吾
遊撃手 池山隆寛 遊撃手 今宮健太
外野手 佐々木誠 外野手 筒香嘉智
村上隆行 西川遥輝
岸川勝也 外崎修汰
D H ニール D H 山川穂高