「100年の道のり」(32)-プロ野球の歴史(菅谷 齊=共同通信)

◎ハードな強化遠征試合で強豪の大連実業に連勝
 東京ジャイアンツの行脚試合は、順調に消化し、プロとしての力を各地で見せつけた。強化試合が終わると、ただちに地元チームと紅白試合を行うなど、かなりハードだったが、プロ野球リーグ結成のためには必要、と選手たちは頑張った。
 そのころ国内で最強だったのは社会人だった。都市対抗に出場するチームは実力者がそろっていた。
 「東京ジャイアンツ? 相手をしてやろう」
 こう言って待ち構えていたのは大連実業だった。エースは谷口五郎。早大で活躍した本格派である。戦後、巨人の投手コーチとなる。打線の中心は、のち阪神タイガースに入団した松木謙治郎。
 10月3日、小倉での第1戦。先発は沢村栄治。内野手の失策絡みで1点を失ったものの、6-1で勝った。翌日の第2戦はビクトル・スタルヒンが先発し、9-5で連勝。打線が谷口を攻略した。
 4期に分けたシリーズの第3期、東北までの戦績は次の通り。
 ▽9月
22日 〇10-5 名古屋鉄道局(名古屋)
 27日 〇15-1 オール福岡(福岡)
 28日 〇14-1 門司鉄道局(別府) 
29日 ● 0-1 熊本鉄道局(熊本)
▽10月
  1日 〇 4-3 名古屋鉄道局(福岡)
  3日 〇 6-1 大連実業(小倉)
3日 〇 8-2 門司鉄道局(小倉)
4日 〇 9-5 大連実業(福岡)
5日 〇 8-2 オールイ飯塚(福岡)
6日 〇 3-2 八幡製鉄(福岡)   
  8日 〇25-1 オール三菱(長崎)
  9日 〇11-0 オール福岡(長崎)
 12日 〇 2-0 オール山陰(松江)
 13日 〇 2-1 名古屋鉄道局(岡山)
 15日 〇10-0 オール徳島(徳島)
 17日 〇 2-1 オール大阪(甲子園)
 19日 〇20-0 オール京都(京都)
 19日 △ 1-1 名古屋鉄道局(京都)
 20日 〇 4-0 名古屋鉄道局(京都)
 22日 〇 1-0 東京鉄道局(静岡)
 24日 〇20-8 オール群馬(前橋)
 25日 〇13-3 福島倶楽部(福島)
 26日 〇 4-2 オール岩手(花巻)
 28日 〇17-4 仙台鉄道局(仙台)
 29日 〇 8-1 秋田鉄道局(秋田)
この後、第4期の関東シリーズで、東京ジャイアンツは痛い目に遭う。(続)