「スポーツアナウンサーの喜怒哀楽」(26)-(佐塚 元章=NHK)

◎札幌でもう一度冬のオリンピック開催しよう
ミラノコルティナ冬季五輪2026が閉幕した。日本は金5銀7銅12、合計過去最多の24個のメダルを獲得するという大活躍だった。フィギアスケートペアの三浦璃来、木原龍一組の逆転優勝などテレビの前で思わず涙したファンも多かったと思う。私は大会中、放送はもちろん、オリンピックの競技会場についてさまざまな感想をもった。
冬のオリンピックは時差がありすぎる、中継環境が悪く競技を伝えきれない、日本国内の関心が夏に比べ低く、参加選手もワールドではないなどの理由で放送規模はそれほどではなかった。冬のオリンピック放送を本格的に始めたのは、長野大会前の1994のリルハメル大会である。以来、氷雪のスポーツは画面的に美しく視聴者を飽きさせない。中継技術、VTR、スローモーション再生の飛躍的進歩で競技のドラマを描き切れるようになった。また各競技が、例えばフィギアスケート団体戦、スノーボードなど「見せる」エンターテイメントとして工夫され、番組として成立するようになった。
しかし今大会、NHKがこれほどまで大編成を組むとは思わなかった。中継は夏の大会と同じジャパンコンソーシャムつまりNHK民放の合同チームだが、視聴者の印象としてはNHKの独占放送だった。NHK総合、Eテレ、BS1、ラジオすべてオリンピック中継という時間帯もあった。バランスを重んじる公共放送としてやりすぎではないかとOBの私は心配もした。背景は前年10月に、正式に認められたネット同時配信NHKONEの普及促進という経営戦略として冬のオリンピックを位置づけたと見ている。
さて、今大会の盛り上がりから、撤退した札幌大会の招致活動を再開したらどうかと考えるようになった。札幌市は2014年から30年開催招致に取り組みながら23年に断念した。18年北海道胆振東部地震の被災、21年東京五輪の汚職事件などの影響で国民のオリンピック熱が冷め、まさに苦渋の撤退を余儀なくされた。私は日本のオリンピックムーブメントがすっかり停滞してしまったことを心配していた。しかし今回の盛り上がりである。「日本人はオリンピック大好き」であることを痛感した。
イタリア大会は遠隔地の4都市で開催され、地球温暖化による雪不足でほとんどが人工雪、新設施設に巨額な投資をした。選手村も6村に分散、国際交流は十分ではなかった。札幌ならオリンピックの理念を追求できる。すでに30年フランス、34年アメリカまでは開催地が決まっているが、その後は温暖化などで冬季大会の立候補都市がなくなることさえ危惧されている。ならばどうですか皆さん!「札幌で、もう一度平和の祭典・冬のオリンピックを開催しようではありませんか!」(完)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です