第77回「青」(島田 健=日本経済)

◎横浜ブルー
▽野球少年
シンガーソングライターの秦基博は1980(昭和55)年生まれ。宮崎県日南市で誕生したが、一家は88年7月に横浜市青葉区(当時は緑区)に転居した。その頃から野球を始めてリトルリーグに入った。「プロ野球選手になる」と周囲に言っていたそうだ。シニアにも上がるつもりだったが、試合に出ることが少なくなり、辛くなってやめたそうだ。同じ頃、6歳上の長兄が3000円ほどで譲り受けたギターを、初めて弾かせてもらったのをきっかけに音楽に目覚め、中学時代から作曲を始めた。最初の夢はプロ野球選手だったのだ。
▽映画のテーマソング
音楽グループ「福耳」のボーカルとして2008年、ABC、夏の高校野球テーマソング「夏はこれからだ」を吹き込んだが、09年にはシンガーソングライターとして要請を受け7代目のテーマソング「Halation」を提供した。「子供の頃からのベイスターズファン」として、09年のミニアルバム「僕らをつなぐもの」の中にあったのが「青」。それが16年の横浜ベイスターズのドキュメンタリー映画「FOR REAL ーベイスターズ、クライマックへの真実。ー」の主題曲に採用されたのはある意味で必然とも言えるだろう。
▽始球式
08年の横浜スタジアムでのオープン戦で始球式を務めた時、のちに監督となる三浦大輔投手と親交を結んだのも縁だったろうか、17年には本拠地開幕戦のゲストとして「青」をギター一本で披露した。同年5月にはデビュー10周年を祝うコンサートをハマスタで行った。「もう空まで自分のものにしたくって 僕は子供みたいにその青を指差すけれど それがあまりに夢の様なことだって 僕もわかっているんだよ」。唄は青い空を自分のものにするために、自分たちは変わらなければいけないと、訴える。
▽青って
いしだあゆみの「ブルーライトヨコハマ」のせいか、筆者は野球で青といえば、横浜ベイスターズを思い浮かべる。だが、よく考えると青いユニホームはあまりに多い。日本プロ野球だけで青が主体のユニホームは中日、オリックスなど計6球団。サッカーの日本代表は侍ブルーである。大谷翔平の球団のチームカラーはドジャーブルーだ。秦本人はベイスターズファンだから「必然」なのだが、この唄はどこのチームでも使えそうな気もする。
検索は「秦基博 青」(了)