「スポーツアナウンサーの喜怒哀楽」(21)-(佐塚 元章=NHK)

◎タイブレークを楽しもう
 2025年も真夏の球宴、全国高校野球・都市対抗野球が無事終了した。多くのドラマが生まれ、私もテレビ観戦や球場に足を運び楽しませてもらった。その中で感じたのは、タイブレーク方式が「すっかり定着したなあ!」ということだ。タイブレークはテニスなど他の競技から持ち込まれ、MLBやWBC、オリンピックなどで実施され、日本のアマチュア大会でもほとんど(大学リーグ戦を除く)採用されている。
理由は試合時間の短縮、大会運営、選手の健康管理である。ルールは変遷してきたが、現在は高校、社会人野球ともに九回終了時点で0対0か同点なら十回無死一、二塁から先攻、後攻の順に攻撃をする。
 甲子園では全47試合でタイブレークは史上最多の8試合、都市対抗は全28試合で6試合あった。パナソニック対王子の試合は十回表パナソニックが3点取ったが、十回裏王子が4点取って逆転サヨナラ勝ちという壮絶な試合もあった。
 このコラムで私は、ルール改定は保守的であれと主張し、特にアマチュア野球のタイブレークやDH制の採用に批判的だったが、これだけタイブレークが存在感を高めてくると、時代の流れはしょうがない、ならば逆に、どう楽しめばよいか考えようという気持ちになった(笑)。正式なデータ分析がなく、私の印象で語ることをお許し願いたい。まず、無死一、二塁の作戦でほとんどのチームが送りバントを使っている。つまり一死二、三塁とするがこの作戦は皆さんどう思うか? 封殺、バントミスも多い。バント成功でも、そのあとヒットが出ず無得点のケースもよくある。
 次にタイブレークは後攻めが有利ではないかという疑問である。後攻は、先攻の無得点や得点数によって作戦が立てられ、常にサヨナラ勝ちが狙える。都市対抗では先攻が2勝、後攻が4勝で、甲子園は先攻、後攻ともに4勝タイだった。この議論は以前からあった。タイブレークに入るとき、コイントスなどで改めて先攻、後攻を決めたらどうかと思うが、如何か?
 次は守備体制の興味だ。無死一、二塁で犠牲バントをさせないために、思いきった5人内野で封殺を狙うことも考えられる。さらに1点取られてサヨナラ負けなら申告敬遠して満塁策をとり、捨て身の5人内野で完全防御の体制を作ることができるのだ。
 ここで私の独断と偏見に満ちた提案をひとつ。送りバントで一死二、三塁にしてスクイズをすべし! 1点取れば先攻は精神的優位に立てる。その後ヒットが出ればもうけものの追加点になる。後攻ならサヨナラスクイズなのだ。私の見ている限り、高校、大学選手権、都市対抗で、スクイズで1点取りに行ったチームを不思議にも見たことがない。しかも守備側は全くスクイズに対して無警戒なのだ。タイブレークからは2点以上の大量点を取らないと勝てないイメージが強いようなのである。
 攻守多々思いをめぐらすと、タイブレーク方式は野球ファンの新しい楽しみ方が増えたかなと思う。皆さんはどう思われますか?(了)