◎開幕ダッシュ(菅谷 齊=共同通信)

 2023年のプロ野球ペナントレースは3月下旬にセ、パ両リーグが開幕した。WBCの爆発的人気を背負ってのスタートである。
 ヤクルトとオリックスの3連覇を阻止できるのか。ともに3年前の最下位チームに連覇を許した他球団にとって屈辱ともいえる出来事だった。阪神と広島、西武とロッテが新監督となり、両リーグとも新鮮な雰囲気を感じる。
 優勝する条件の一つに開幕ダッシュがある。それが実現すれば余裕につながり、先行逃げ切りの安定した戦いができる。
 今年と同じウサギ年だった1999年の中日は、その開幕ダッシュが効いて優勝した代表的な例だった。星野仙一監督の気合がチームに浸透し、開幕戦から11連勝。あっという間に独走状態になった。首位を譲ったのはたった6月の1日だけで、秋は勝ちまくり、いわゆる「ぶっちぎり」状態でゴールインした。
 どういう勝ち方をしたかというと、投手を中心とした固い守りで確実に勝利を手中にした。野口茂樹と山本昌の両左腕に川上憲伸と武田一浩の右腕、抑えに宣鋼烈と岩瀬仁紀。防御率はリーグ1位だったのに対し、打線の打率はリーグ4位。レオ・ゴメスの強打が目立ったぐらいだった。
 ペナントレースの先行逃げ切りというと、V9時代の巨人がそうだった。このころの巨人はビジターのとき中止になる試合が少なかった。大きな理由は人気チームゆえだった。常に満員になるから高収入が計算できるため天候が悪くても試合が強行された。従って他チームより早く全日程を終えることになるため、競った場合は残り試合が少ないから逆転する可能性が低くなる。早く首位に立って差をつけ、相手をあきらめさせることで連覇を成し遂げた。(了)