◎5番バッターは永遠の課題(菅谷 齊=共同通信)

魅力のある打線はクリーンアップ・トリオのすごさだろう。クリーンアップとは4番打者のことで、その前後を打つ3番と5番を含めるからトリオとなる。
 3、4番の打者はどのチームも固定していることが多いのだが、5番打者となると必ずしも固定していない。つまり安定した成績を残せないからで、複数の打者が入れ替わり打席に立つ。優勝チームを振り返ると強力な5番打者が必ず控えている。
 王貞治、長嶋茂雄の後を打つ5番打者を必死になって探し求めていた代表的なチームは巨人だった。
1965年(昭和40年)からのV9時代、他球団からその候補を獲得した。西鉄の切り込み隊長だった高倉照幸、広島で首位打者を獲得した森永勝也、新人で本塁打王となった大洋の桑田武らである。この中で唯一期待に応えたのは67年の高倉だけだった。
V9時代の5番打者を日本シリーズから見てみる。65-66年は森昌彦(祇晶)、67年高倉、68年国松彰と柴田勲、69年国松と黒江透修、70年黒江と末次民夫、71-72年末次、73年末次、柳田俊郎。スイッチヒッターで1番を打っていた柴田は68年に5番として26本塁打を放ったものの1年で元に戻った。
71年の阪急との日本シリーズ第1戦で王が5番を打っている。3番黒江、4番長嶋の後で、これは王がシーズン後半に不調だったからなのだが、第2戦から3番に戻り、第3戦で山田久志から球史に残る逆転サヨナラ3ランを放った。
過去の強烈なクリーンアップ・トリオを思い出してみよう。松竹の小鶴誠-岩本義行―大岡虎雄、西鉄の中西太-大下弘-関口清治、大毎の榎本喜八-山内一弘-葛城隆雄、広島の衣笠祥雄-山本浩二-水谷実雄、西武の秋山幸二-清原和博-オレステス・デストラーデなど。
今年セ・リーグをぶっちぎりで優勝した阪神は森下翔太、佐藤輝明の後を打った大山悠輔が勝負どころで快打を放った。打線で苦労し続けた昨年優勝の巨人とは対照的に、最後までクリーンアップ・トリオが固定した。5番打者の活躍が主軸トリオの威力を倍加する。第3の男、5番打者の存在はどのチームも大きな課題といっていい。(了)