「大リーグ見聞録」(90)-(荻野 通久=日刊ゲンダイ)
◎オールスターの鈴木誠也と福留康介
▽晴れがましさと困惑
今年の大リーグのオールスターゲーム(現地7月15日、アトランタ)は試合前から様々な話題で賑わった。中でも出場選手決定時点(現地7月6日)で、ナ・リーグの打点トップ(77)だった鈴木誠也(カブス)の落選は内外で「まさか」「あり得ない」という受け止め方が多かった。打率.263はともかく、本塁打も4位の25本。DH部門のライバルが強力(ファン投票1位は大谷翔平、他に27本、63打点のフィリーズ、カイル・シュワーバーが選出)だったこと、全球団から最低1人は選ぶルールがあることなどが選考に影響したようだ。
それで思い出したのが2008年の球宴だ。カブス入団1年目の福留康介がファン投票3位(ナ・リーグ外野手部門、299万4935票)で選出された。福留は開幕戦の初打席で二塁打。九回には同点3ラン放つなどファンに強烈な印象与えた。だが、4月の打率(.327)は6月になって下降。ふくらはぎを痛めてともあり、代打での出場も増えていた。
その年の球宴はヤンキースアジアムで開催。私も取材に行った。前日の記者意見、試合前
の打撃練習時の福留の写真が今、私の手元にある。晴れがましい気持ちの一面、場違いというか、困惑の表情も見て取れる。「スター選手ばかり」と話していたが、果たして自分がここにいていいのか、という感情にかられたのだと思う。
福留は8番右翼中堅で出場したが、成績(.279、8本、35打点)はスタメン9人の中でいずれも最も低かった。
▽球宴出場は大きな勲章
そんな福留がファン投票で選出されたのは、シカゴが大都市だからと言われた。ニューヨーク、ロスと並ぶ全米三大都市。当然、野球ファンも多い。開幕戦、4月の活躍、西地区首位を走るチームの勢いが福留を3位に押し上げたのであろう。
翻って考えれば鈴木は不運と言わざるを得まい。チームが首位は2008年と同じ。その年は福留を含め7人もカブスから選ばれているが、今回は3人。シカゴが三大都市あることは変わらない。「球宴史上、最悪の歴史」と地元マスコミが騒いだのも無理もなかろう。
オールスター出場回数は通算成績、タイトル数と並ぶ、選手評価の基準となる。年に1試合しか行われず、しかも30球団から選ばれるからだ。
福留は球宴出場を「一生の思い出」と話していた。「一生の一度の思い出」になってしまったが、果たして鈴木にその機会は来るのだろうか。(了)
