「記録の交差点」(2)-(山田 收=報知)

◎第2回 坂本勇人(巨人)②
 現役選手が持つ日本プロ野球記録と挑戦するNO.1記録。そしてそのターゲットとなったレジェンドを取り上げるのがこの「記録の交差点」のテーマだが、第2回は、現役最高の遊撃手である坂本がチャレンジする通算二塁打記録にスポットを当てる。
 第1回の出稿直前、坂本は2023年6月23日に右太もも肉離れで戦線離脱。従ってこの1か月間、数字の上積みはないが、8月上旬といわれる復帰を楽しみに待つことにする。
 さて通算二塁打のプロ野球記録は、立浪和義(中日)が持つ487。1988年から2009年にかけて22シーズンで積み重ねた数字である。ちなみに中日の野手で実働22年は、荒木正博と並び最長だ。立浪自身「ツーベースに縁があった」と振り返る野球人生。1988年4月8日、横浜大洋との開幕戦(ナゴヤ球場)に先発2番・遊撃手でフルイニング出場した。これは、高卒新人としては球団史上初(セ・リーグでも初)のことである。6回、欠端光則から放ったプロ初安打が右翼線二塁打。
 ラストゲームとなった2009年9月30日の巨人戦(ナゴヤドーム)。4打数3安打、通算175度目の猛打賞をマークした最後のヒットも越智大祐から奪った右中間タイムリー二塁打だった。まさに二塁打で始まり二塁打で幕を閉じたバット人生といえる。
 興味深いのは、立浪はシーズン30二塁打以上を7回記録している(もちろん史上最多)
にも関わらず、年間最多二塁打者には1度もなっていないことだ。シーズン最多は1996年の39本。この年の最多二塁打者は、3年連続首位打者を獲得した同僚のアロンゾ・パウエルだった。言い換えれば、突出した爆発的シーズンはないが、コンスタントに打ち続けた証でもある。
 なお、“二塁打王”最多獲得打者は、立浪の2代前の記録(448)保持者だった山内一弘の4度だ。坂本も1度(2012年・35本)獲得している。果たして坂本は立浪を超えられるか。故障等のアクシデントも考慮しなければならないが、十分期待できると思う。
 坂本は2022年までの16シーズンで通算416本。立浪はルーキーから16年間の通算が偶然にも416本だった。まもなく復帰するだろう坂本の踏ん張りを期待しながら、次回もこの続きを。=記録は23年7月26日現在=(続)